円城塔「これはペンです」
叔父は文字だ。文字通り―。妙な手紙を送ってくる叔父。これは小説と言えるのか、と思いつつ最後まで読むと確かに小説だった。
“わたしたちはあまりにも簡単に出鱈目を書けてしまうと思わないかね”
“これはペンです” の続きを読む
読んだ本の記録。
円城塔「これはペンです」
叔父は文字だ。文字通り―。妙な手紙を送ってくる叔父。これは小説と言えるのか、と思いつつ最後まで読むと確かに小説だった。
“わたしたちはあまりにも簡単に出鱈目を書けてしまうと思わないかね”
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ジョン・クラカワー「荒野へ」
アラスカで餓死した青年。彼はなぜ荒野を目指したのか―。映画「Into the Wild」の原作ノンフィクション。
究極の自由は自分からの自由にしか存在しない。
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著者の最後の長篇にして、到達点。他者を求め、他者に遠慮し、他者を諦め、それが独善であることに気づく。幻覚、幻聴に悩まされ、正気と狂気の間を彷徨う男の記録。
「自分は誰かとつながりたい。自分は、それこそ、人間に対する優しい感情を失いたくない―」
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色川武大「百」
家族との微妙な距離感を描いた短編集。「百」と「永日」は父との、「連笑」は弟との関係、「ぼくの猿 ぼくの猫」にはナルコレプシーで著者が生涯悩まされた幻覚が綴られる。博徒・阿佐田哲也としての無頼のイメージからは遠い、静かで誠実な私小説。
自分に、ここまで真っすぐ自らを見つめることができるだろうか。
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