石川淳「至福千年」
開国と攘夷に揺れる幕末の江戸で聖教の楽園を築くため、暗闘する千年会。破天荒な人物、自在な展開に最後まで引き込まれる。何よりも古文を思わせる無駄のない流れるような文体。美しい。
読んだ本の記録。
内澤旬子「世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR」
アラブから芝浦まで、イラスト付き屠場紀行。
差別や動物愛護など、語ろうと思えばいくらでも語れる題材だけど、過剰な意味付けをせず、シンプルに「大切な、面白い仕事」としていきいきと描いている。
“世界屠畜紀行” の続きを読む
「山海経 ―中国古代の神話世界」
獣がいる、その状は狐の如くで九つの尾、その声は嬰児のよう、よく人を食う。食ったものは邪気におそわれぬ―
最古の地理書。奔放な想像力が生み出した作品か、それともこれが「現実」だったのか。
“山海経 ―中国古代の神話世界” の続きを読む
網野善彦ほか「米・百姓・天皇 日本史の虚像のゆくえ」
日本は瑞穂の国なのか。稲作中心史観を問い直し、明治政府の農本主義がいかに日本の歴史像を歪めたか検証する。
“米・百姓・天皇 日本史の虚像のゆくえ” の続きを読む