芸者。日本文化のアイコンの一つとされながら、その実態はよく知られていない。遊女と混同されることもあるが、吉原などの廓において職掌は明確に分けられ、芸者の売色は固く禁じられてきた。新橋演舞場に勤め、東都の名妓に長年接してきた著者による本書は、古代の巫女にまで遡って芸者と遊女の本質を探る優れた日本文化論となっている。
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阿弥陀堂だより
主人公は中年の売れない作家。エリート医師としてのキャリアを積みながら、パニック障害を発症して働けなくなった妻とともに故郷の山村に帰り、そこで堂守のおうめ婆さんを始めとする人々と出会う。百歳を前に自然と共に生きるおうめ婆さんの含蓄に富んだ言葉が、作品の大きな幹となっている。
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アンナ・クリスティ
ユージン・オニールの代表作の一つ。1930年公開の映画はグレタ・ガルボが主演し、トーキー黎明期の名作として知られている。
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永い言い訳
バス事故で妻を亡くした小説家と、幼い子供二人と共に残されたトラック運転手。妻同士が親友だった二人は遺族として初めて対面する。冷え切った夫婦関係の中、妻の死を悲しむことができなかった小説家は、長距離の仕事で家を空けることの多いトラック運転手の家に通い、幼い子供二人の面倒をみるようになる。
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13・67
フルハウス
表題作は泉鏡花文学賞と野間文芸新人賞を受賞した著者の初期の代表作の一つ。
ばらばらになった家族を立て直すことを夢見て、立派な一戸建てを新築した父。しかし、成人して自分たちの生活を確立している娘たちも、ずっと以前に家を出た妻も、寄りつく気配はない。父はその空虚を埋めるかのようにホームレス一家をその新居に住まわせる。
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夜と霧
精神科医が自身の収容所体験を綴った本書は、二十世紀を代表する書物の一つだろう。「夜と霧」という邦題で広く知られているが、原題は「…trotzdem Ja zum Leben sagen:Ein Psychologe erlebt das Konzentrationslager」(それでも人生を肯定する:心理学者、強制収容所を体験する)。人が物と化す極限状態の中で、著者が専門家として、一人の人間として見聞きし、感じ、考えたことが綴られている。人生はあなたにとって無意味かもしれない。それでも、あなたが生きることは無限の意味を持つとフランクルは言う。人間は常に問われている存在だという言葉は、今なお強く胸を打つ。
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愛が挟み撃ち
不妊治療に取り組む夫婦と、夫の親友を巡る歪な三角関係を描いた中編小説。無精子症の夫と、その夫に思いを寄せる親友。男性二人の女々しさに妙にリアリティがある。
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俳優・亀岡拓次
著者の作品を一言で評するなら、なんてことないのになんだか面白い。登場人物は皆どこかずれているけど、そのずれは他人事とは思えないし、力の抜けた筆に不思議と引き込まれる。
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カブールの園
芥川賞候補になった表題作は、幼い頃に受けたいじめや差別の記憶と、過干渉な母との関係に悩む日系女性が主人公。タイトルからアフガニスタンの話かと思ったら、「カブールの園」とは女性が受けているセラピーのことを指す言葉で、作品の舞台は米国西海岸。現実のカブールは作中に登場しない。
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