ロバート・P・クリース「世界でもっとも美しい10の科学実験」
ムック本のような邦題だけど、科学史家による読み応えのある一冊。
“美”はただ整っているということだけを意味しない。優れた芸術作品は、それが絵画であっても、文学や音楽でも、世界の見え方を多少なりとも変えてしまう。それこそが美なのだとしたら、科学実験も同様に美しい。
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読んだ本の記録。
ロバート・P・クリース「世界でもっとも美しい10の科学実験」
ムック本のような邦題だけど、科学史家による読み応えのある一冊。
“美”はただ整っているということだけを意味しない。優れた芸術作品は、それが絵画であっても、文学や音楽でも、世界の見え方を多少なりとも変えてしまう。それこそが美なのだとしたら、科学実験も同様に美しい。
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安岡章太郎「ガラスの靴・悪い仲間」
初期短編集。戦争を挟んで青春時代を過ごし、明確な価値基準や希望の存在しない日常を見つめる著者の視線は、村上春樹など二十世紀後半の文学作品にも通じる現代性がある。
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井出幸男「宮本常一と土佐源氏の真実」
宮本常一が記した文章で最も有名な「土佐源氏」。老博労の聞き書きで、前近代の庶民の性に関する民俗学資料として評価されてきたが、そこに創作、脚色が混ざっていることも以前から指摘されてきた。著者は、宮本常一の若き日の恋愛遍歴にまで踏み込んで、土佐源氏に投影された宮本自身の体験を探っていく。
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角田光代「ツリーハウス」
家族の物語。満州で出会った祖父と祖母は生きるために戦争から逃げた。敗戦後、戻る場所もなく、根を失ったままバラック街の一角で中華料理屋を始める。子供たちが育ち、孫たちが生まれ、それぞれに不器用に何かを失い、何かを得ながら生きていく。時に迷い、時に「大丈夫だ」というよく分からない感覚に流され、子供は大人に、大人は老人になっていく。そうしていつの間にか、根を失ったはずの自分たちの人生が根を張っていることに気付く。
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