「想像」という電波に乗せて死者が語るラジオ。
震災が題材というだけで懐疑的な気持ちで読み始めたが、読んでみて真摯な作品という印象を受けた。
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読んだ本の記録。
山本周五郎「ひとごろし」
勝ち目のない強敵を、遠巻きに精神的に追い詰めていく。臆病侍の上意討を描く表題作の「ひとごろし」はユーモアがあって、どことなく風刺も効いていて面白い。
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末木文美士「日本宗教史」
記紀神話に始まり儒教や思想にも触れていて、どのように日本人の“古層”が形成されてきたか、日本精神史とも言える充実した内容。
個人的に、仏教と神祇信仰は二本柱のように独立して存在し、その中間に神仏習合の領域があると考えていたが、実際には両者は互いに影響しあい、大きく変容してきた。特に日本古来の伝統と考えられがちな神祇信仰が、仏教の影響で形成されてきた過程が興味深い。
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本谷有希子「生きてるだけで、愛。」
登場人物の行動やセリフの立ち方はさすが劇作家の作品という感じ。主人公の女性を演技力のある女優が演じたらそれだけで面白いだろう。
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岩井秀人「ヒッキー・カンクーントルネード」
初めてハイバイの舞台を見た時、演劇ってこんなに面白いのか、と思った。
ハイバイは決して奇抜で新しいことをしている劇団ではないが、舞台に小説や映画では表現し得ない奥行きが感じられた。
そのハイバイを主宰する岩井秀人の初小説。再演を重ねている劇団代表作の小説化で、原作の面白さは折り紙付き。そこに小説ならではの面白さも加わった。
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