星野智幸「俺俺」
ふとした思いつきでオレオレ詐欺を働いた途端、俺は別の「俺」になって、「俺」が社会に増殖していく。分かり合える分身の存在に最初は幸福感を抱く「俺」だが、やがて自分の醜悪な面も見続けることに耐えられなくなって「俺」同士の衝突が始まる。こう書くと意味不明だが、自分や他者、社会との向き合い方を、比喩ではなく実際に「俺」をもう一人、さらに一人と次々と登場させて描いていくという実験的手法で、破綻ぎりぎりで完成させている。

読んだ本の記録。
安丸良夫「神々の明治維新 ―神仏分離と廃仏毀釈」
明治新政府が進めた神仏分離政策は日本人の信仰を大きく歪めたはずなのに、それについてまとめた書物は少ない。日本史の授業でもほとんど習わない。それぞれの寺社にとっても誇れる歴史では無いから語られずに来たのだろう。廃仏毀釈の嵐も今となっては全体像を掴むのは困難となっている。
“神々の明治維新 ―神仏分離と廃仏毀釈” の続きを読む