別役実「壊れた風景/象」
別役実の代表作のひとつ「象」。病床で原爆症に苦しみつつも、背中に残るケロイドを人々に見せびらかすことを夢見る男。原爆の悲惨さを扱った作品である以上に、圧倒的な暴力の被害を受けた時、人がどこにアイデンティティを求めて生きていくかの問題を浮き彫りにしている。
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読んだ本の記録。
別役実「壊れた風景/象」
別役実の代表作のひとつ「象」。病床で原爆症に苦しみつつも、背中に残るケロイドを人々に見せびらかすことを夢見る男。原爆の悲惨さを扱った作品である以上に、圧倒的な暴力の被害を受けた時、人がどこにアイデンティティを求めて生きていくかの問題を浮き彫りにしている。
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「ニール・ヤング自伝」
ニール・ヤング初の自伝。自伝とはいうものの、全然時系列になっていない、とりとめのない文章がこの人らしい。音楽活動の思い出を軸としつつ、音質へのこだわりや、趣味の車、鉄道模型などなど、思いつくまま書き連ねていったかのよう。
「お察しの通り、わたしは自分の思考をほとんどコントロールできない。今までのところ、書き直しをしたのはほんの1パラグラフほどだ」
“ニール・ヤング自伝 Waging Heavy Peace” の続きを読む
竹本住太夫「文楽のこころを語る」
浄瑠璃の主な演目について、語り手としての思いや工夫を聞き書きでまとめた一冊。ただ抑揚をつけて読み上げているのではなく、いかに心を、情を伝えるのか。そこに気の遠くなるような稽古と試行錯誤がある。
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有吉佐和子「一の糸」
芸道一筋に生きた文楽三味線弾きの露沢徳兵衛と、その後添えとして生涯をささげた酒屋の箱入り娘の茜の一生を、敗戦、文楽会の分裂、鶴澤清六と山城少掾の決別など、現実の出来事をモデルに交え描いた長篇小説。
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