有川浩「阪急電車」
阪急今津線が舞台の連作短篇。小さな出会い、別れ、恋の始まり……個々のエピソードはべったべただけど、爽やか。タイトルからはもっと関西色が強い小説かと思ったら、そんなことはなくて、どこにでもありそうな鉄道沿線の物語。通勤、通学、休日のお出かけ。電車が暮らしの中にある人、すべてにおすすめ。
読んだ本の記録。
三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」
東京のはずれにあるという“まほろ市”を舞台に、便利屋の多田とそこに転がり込んできた変人の行天。舞台設定も登場人物も魅力的で、物語の枠を超えて想像力が広がる。終わりもしっかりハッピーエンド。
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松本仁一「兵隊先生 沖縄戦、ある敗残兵の記録」
敗戦間近の沖縄。部隊でただ一人生き残った兵士は、ある家族に助けられ、沖縄県民と身分を偽って、米軍が設けた避難民キャンプの教師になる。
沖縄に送られた日本兵が何を思ったのか。ひとりの“兵隊さん”と人々がどう関わったのか。
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阿部謹也「西洋中世の罪と罰 亡霊の社会史」
粗野で生者に災いをなす死者は、キリスト教と共に、生者に助けを求める哀れな死者へイメージを変えた。アイスランド・サガなどからの引用で古代ゲルマンの世界観を説明しながら、キリスト教がどう受容されていくのかを描く。
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