平瀬礼太「彫刻と戦争の近代」
戦時の彫刻作品について美術史で語られることはほとんどないが、実際には彫塑関係の展覧会は活況を示していたという。芸術家の戦争協力というだけの論なら新しくはないが、美術品や公共のシンボルなど位置づけがあいまいな彫刻からの視点はなかなか新鮮。
“彫刻と戦争の近代” の続きを読む
読んだ本の記録。
平瀬礼太「彫刻と戦争の近代」
戦時の彫刻作品について美術史で語られることはほとんどないが、実際には彫塑関係の展覧会は活況を示していたという。芸術家の戦争協力というだけの論なら新しくはないが、美術品や公共のシンボルなど位置づけがあいまいな彫刻からの視点はなかなか新鮮。
“彫刻と戦争の近代” の続きを読む
宮藤官九郎「きみは白鳥の死体を踏んだことがあるか(下駄で) 」
宮藤官九郎初の小説と銘打っているが、読んだ印象は文体も含めてかなりエッセイに近い。
“きみは白鳥の死体を踏んだことがあるか(下駄で)” の続きを読む
村上春樹「女のいない男たち」
シンプルに“村上春樹の恋愛小説集”といえるような一冊。これまでの長編にちりばめられていた恋愛絡み、特に別れの要素を短編小説として仕上げた感じ。
“女のいない男たち” の続きを読む
網野善彦「列島の歴史を語る」
網野善彦の講演集。内容的には他の著書と同じだが、歴史を非農業民や境界領域から見つめなおし、東と西の政治的、文化的差異や大陸とのつながりを重視するという網野史学のエッセンスがつまっている。
“列島の歴史を語る” の続きを読む
塚田孝「大坂の非人 乞食・四天王寺・転びキリシタン」
都市の形成とともに乞食が集団化し、新たな貧人の統制を担い、やがて町奉行所の御用を担うようになっていく。大坂ではそこに四天王寺との関係も絡み、垣外仲間=非人は、えた身分と別れて独自の組織化が進んだ。転びキリシタンがその中核を担ったというのも興味深い。
“大坂の非人 乞食・四天王寺・転びキリシタン” の続きを読む
三浦しをん「仏果を得ず」
文楽の世界を舞台にした青春小説。役の性根を掴むことに苦心する主人公を通して、熱心な文楽ファンという三浦しをん自身の作品観も伺えて面白い。
古典は理解に苦しむ話が多いが、その雑多さは受け取る側に向かって開かれている。小説中に作品名が次々と出てくるが、解説くささが無く、著者自身かなり楽しんで書いたのでは。
“仏果を得ず” の続きを読む
諏訪春雄「歌舞伎の源流」
舞台、櫓、看板のあり方、隈取、花道、型の成立など、歌舞伎の諸要素の源流はどこにあるのか。日本の芸能というと謡曲、浄瑠璃、歌舞伎を直線的に理解してしまうが、浄瑠璃のルーツの一つに中国の変文があることなど、常に大陸からの影響を受けて日本の伝統芸能は形作られてきたことが分かる。
“歌舞伎の源流” の続きを読む