東西不思議物語

澁澤龍彦「東西不思議物語」

妖怪、幽霊、魔術……西洋にこんな話がある、日本にも似たような話がある……と、東西の怪異譚を引きながら、イメージの差異や共通性を軽妙な語り口で紹介していく。

澁澤龍彦らしい衒学的な香りにどっぷりと浸かれる一冊。博識ぶりに驚くとともに、つまみ食い的な物足りなさも。

宇宙は本当にひとつなのか ―最新宇宙論入門

村山斉「宇宙は本当にひとつなのか ―最新宇宙論入門」

暗黒物質とは。異次元とは。宇宙の何が分かっていて、何が謎なのか。非常に分かりやすく読みやすい一冊。

知識は無いけど、時々この手の本が無性に読みたくなる。著者の「宇宙の研究をしているととても謙虚な気持ちになります」との言葉通り、スケールの大きさに日常の些事がどうでも良くなる。精神安定剤にも。

アヘン王国潜入記

高野秀行「アヘン王国潜入記」

当時世界最大の阿片産地だったゴールデントライアングルの農村で、芥子を栽培しながら7カ月過ごした破格の記録。

村に溶け込み、しかもアヘン中毒の“駄目な村人”に。

ビルマの少数民族についての貴重な報告でもある。ジャーナリスト的な思考に染まった人間にはこういうものは書けない。

池袋ウエストゲートパーク

石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」

IWGP1作目。娯楽小説の傑作。「池袋」というひとつの世界を作り上げていて、素材はありがちでも、キャラ作りとか、テンポの良い展開とか、漫画的な魅力で引き込まれる。

オレオレな文体は個人的に好きじゃないけど、読み進めるうちに気にならなくなった。