フリークス

綾辻行人「フリークス」

精神病棟を舞台とした短編ミステリー3本。構成が見事で、あっという間に読み終えられた。ただ舞台が舞台だけに、どんでん返しの意外性が薄く、著者本人があとがきで書いているように、やや若書きという印象も。

倒錯のロンド

折原一「倒錯のロンド」

叙述トリックもの。盗作を巡る倒錯。引き込まれてあっという間に読んでしまったし、凝った構成だけど、叙述トリックそのものは中心となる語り手の設定が反則というか、個人的には肩すかし気味。

生ける屍の死

山口雅也「生ける屍の死」

  

死者が次々と蘇るという世界設定からして異色のミステリー。主人公が一度死んでからが本番という物語もぶっ飛んでいる。死者が蘇るため、アリバイも、証拠も、さらには動機も、全てが発想から変わってくる。普通のミステリーに飽きたという人には非常におすすめ。
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第三の男

グレアム・グリーン「第三の男」

映画で知られる作品だが、グレアム・グリーンの原作も当初から映画化前提で書かれている。映像的な場面展開に、心理描写などが削ぎ落とされた文体、大戦直後の分割統治下のウィーンの雰囲気が組み合わさって独特の雰囲気を生んでいる。陰鬱な空気の中、主人公の三文小説家が純文学の大家に間違われるエピソードが英国喜劇っぽくて面白い。

GOTH

乙一「GOTH」

 

猟奇的な殺人に興味のある少年と少女の物語。主人公の少年が、自分が異常=特別という幻想に囚われていて、いわゆる中二病をくすぐる設定。大人として読むとそれは稚さとして気になってしまうが、中学生くらいで読んでいたらはまったかも。