阿部謹也「西洋中世の罪と罰 亡霊の社会史」
粗野で生者に災いをなす死者は、キリスト教と共に、生者に助けを求める哀れな死者へイメージを変えた。アイスランド・サガなどからの引用で古代ゲルマンの世界観を説明しながら、キリスト教がどう受容されていくのかを描く。
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読んだ本の記録。
阿部謹也「西洋中世の罪と罰 亡霊の社会史」
粗野で生者に災いをなす死者は、キリスト教と共に、生者に助けを求める哀れな死者へイメージを変えた。アイスランド・サガなどからの引用で古代ゲルマンの世界観を説明しながら、キリスト教がどう受容されていくのかを描く。
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尾崎翠「第七官界彷徨」
これまた不思議な小説。
少女と兄2人と従兄との共同生活の物語。誰もが誰かに失恋している。
“第七官”に届く詩を書きたいとか、蘚の恋のために部屋で肥やしを煮るとか、少女漫画のような雰囲気と、シュールで前衛的な雰囲気、切ない叙情的な雰囲気とが混ざり合って、最後まで読んでも結局良くわからないまま。仮名遣いとか作中に出てくる品を除けば、いつの時代の作品か全く想像ができそうにない。
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大江健三郎「万延元年のフットボール」
久しぶりの大江作品。とにかく過剰。描写も要素も醜悪さも希望も。
万延元年の一揆を通奏低音とした作品だが、要約が不可能なほど主題が入り組んでいる。
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足利健亮「地図から読む歴史」
地形や地名に残された微かな意志の断片をもとに歴史を読み解く歴史地理学のエッセンスが詰まった一冊。
郡境がなぜ今のように定まったのか、信長がなぜ安土に城を築いたのか、飛鳥をあすかと読む理由は……。本当に面白くて刺激的な分野。
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織田作之助「夫婦善哉 完全版」
商家のぼんぼんの駄目男、柳吉と、勝ち気で一途な元芸者の蝶子。商売を始めても柳吉が放蕩して使い果たしてしまい、生活は何度も行き詰まる。どうしようも無い話が延々と続いていくのに、なぜかとても魅力的。終盤の「一人より女夫(めおと)の方が良えいうことでっしゃろ」の台詞がぐっとくる。
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