関容子「花の脇役」
歌舞伎の名脇役たちの話。歌舞伎の舞台がどう作られているのか、いかに芸が継承されてきているのか、幹部役者の芸談だけでは分からない部分を聞き出している。
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読んだ本の記録。
サリンジャー「フラニーとズーイ」
村上春樹による新訳。
とにかく読んでいて胸が痛くなる。ズーイの言葉とフラニーのいらだちは、サリンジャー自身の叫びのようだ。信仰を巡る会話が延々と続き、当時はこれがそのままスピリチュアルな主題として受け止められたのだろうが、今読むと、それは訳者の村上春樹が指摘しているようにメタファーとして感じられる。かえって多くの人の心に迫るのでは。
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安部公房「幽霊はここにいる・どれい狩り」
安部公房の初期戯曲集。どれも安部公房のエッセンスが見事につまっていて、さらに、なぜ演劇に足を踏み入れたのかがはっきり分かる作品となっている。
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「松緑芸話」
二代目尾上松緑の芸談。七代目幸四郎の三男で、長兄が十一代目團十郎、次兄が八代目幸四郎。六代目菊五郎に預けられたことで、音羽屋と、さらには九代目團十郎の芸を継ぐことになる。前半は幼少期から戦争体験を経ての半生記。兄たちの人柄など貴重な証言で、かつ面白い。中盤からは各演目の見せ方の工夫など。「一谷嫩軍記」の團十郎型、芝翫型の違いなどが興味深い。
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