江戸時代の堂島米市場は世界初の先物取引市場と言われることもある。米を証券化した米切手が在庫米以上に発行され、市場を形成していた。やがて売り買いの約束だけで相場変動の差金をやりとりする「帳合米商い」や時間外取引が発達し、買いたい時に買い、売りたい時に売ることのできる流動性の高い市場が完成した。現物をやりとりすることを当初から想定してない帳合米商いは、商品価格の変動リスクをヘッジするための先物取引より、むしろ現代の指数取引に近い先鋭的な仕組みだった。
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わたしが・棄てた・女
終戦後間もない東京。大学生の吉岡は、世間知らずな少女、森田ミツと体の関係を結ぶが、田舎臭いミツに嫌悪感を覚え連絡を絶つ。やがて吉岡は就職先の重役の娘と結婚するが、ミツは一途に吉岡のことを思い続けている。
とここまで書けば身勝手な男の姿を描いた通俗小説だが、ミツの人物像が掘り下げられていく中で、物語は哲学的、宗教的な様相を帯び始める。
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旅のラゴス
この世にたやすい仕事はない
前職で燃え尽きた36歳の女性が職安で紹介された仕事を転々としていく連作短編集。「コラーゲンの抽出を見守るような仕事」というふざけた要望に対して紹介されたちょっと奇妙な五つの仕事を通じて、主人公は自分の居場所を探していく。
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この人の閾
著者の小説は変わっていて、物語的な起伏がほとんどないだけでなく、登場人物の散漫な会話や日常生活がだらだらと綴られるものが多いのだけど、平易な文体と相まってそれが心地良く、いつまでも読んでいたいという気にさせられる。登場人物のとりとめもない思索は、不思議と読み手の思考も刺激する。
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ヤマネコ・ドーム
一言で説明するのは難しい。明らかに震災と原発事故を踏まえて書かれた作品だが、時系列も視点もあえて混乱させた多声的な文体で、日本の戦後史そのものを問う物語となっている。
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ファーストラヴ
第159回(2018年上半期)直木賞受賞作。
父親を殺した容疑で逮捕された女子大生、聖山環菜と、彼女についてのノンフィクション執筆を依頼された臨床心理・真壁由紀、その義弟で環菜の弁護人・庵野迦葉を軸に物語が進む。
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12万円で世界を歩く
下川裕治「12万円で世界を歩く」
「12万円で世界を歩くリターンズ」
近年、旅の景色は大きく変化した。
名著「12万円で世界を歩く」が刊行されたのは1990年。東南アジアからアメリカ、シルクロード、ヒマラヤまで、毎回、往復航空券代含め12万円で世界各地を旅するという雑誌の企画で、著者の旅行作家としてのデビュー作でもある。
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楽園
宙の家
先日発表された直木賞を受賞した作家の単行本デビュー作。
(本作ですばる文学賞最終候補に残り、その後に文学界新人賞受賞)
マンションの11階で、祖母と母、弟と暮らす女子高生、雛子の物語。
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