言壺

神林長平「言壺」

SFというと、クラークの「幼年期の終わり」や、ホーガンの「星を継ぐもの」、ハクスリーの「すばらしい新世界」、オーウェルの「1984」など、何となく宇宙や文明を描くものと思いがちだが、言語や認識を題材とした“言語SF”と呼ばれるジャンルがある。中には伊藤計劃の「虐殺器官」のようにそれらが高度に組み合わさった作品もある。
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老ヴォールの惑星

小川一水「老ヴォールの惑星」

個人的に、SFはミステリー以上に未開拓のジャンルだけど、たまに読むと刺激を受けることが多い。思考実験の場として、いわゆる“純文学”以上に人間を描いている作品がある。

表題作「老ヴォールの惑星」のほか、「ギャルナフカの迷宮」「幸せになる箱庭」「漂った男」の計4編。どれも傑作。
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雪が降る

藤原伊織「雪が降る」

読み終えて、じんわりと良い作品だったと思う短編小説はそれなりにあるけれど、読んでいる最中に先が気になって引き込まれる物語は、短編ではあまり無い。

「台風」「雪が降る」「銀の塩」「トマト」「紅の樹」「ダリアの夏」の六編。どの作品も、途中で読み進める手を止めることなく読了。フィクションであることをいかした不器用で気障な男たちが格好良い。
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なつかしい芸人たち

色川武大「なつかしい芸人たち」

「麻雀放浪記」の阿佐田哲也のイメージで色川武大の「狂人日記」や「百」といった小説を読むと驚かされるが、さらにこうしたエッセイを読むと、その芸能分野の造詣の深さに再び驚嘆させられる。その上で、こうして著者の人生観は育まれたのだと、読みながらストンと腑に落ちる。
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たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く

石村博子「たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く」

世界大会で3度優勝し、公式戦無敗の41連勝、“サンボの神様”とまで言われたビクトル古賀(古賀正一)の少年時代の物語。満州から一人で引き揚げてきた少年の回想であると同時に、コサックの末裔の物語でもある。

「俺が人生で輝いていたのは、10歳、11歳くらいまでだったんだよ。(中略)俺のことを書きたいって、何人もの人が来たよ。でも格闘家ビクトルの話だから、みんな断った。あなたを受け入れたのは、少年ビクトルを書きたいっていったからさ」
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「子供を殺してください」という親たち

押川剛「『子供を殺してください』という親たち」

予備知識無くタイトルだけ見て、精神科医の書いた本かと思って手にしたが、著者は精神病の患者を家族等の依頼で医療機関に繫ぐ「精神障害者移送サービス」の経営者。病識を持つように本人を説得するとともに、受け入れ先の病院を探し、その後の面会等のフォローも手がけている。本書では著者自身が実地で体験したケースを紹介するとともに、現在の日本の精神医療の問題点を指摘している。
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