シェイクスピア「ハムレット」
堂々巡りをする復讐者、ハムレット。今読むと悲劇というより一種の不条理劇という印象が強く、安易な共感は寄せ付けない。長い独白で表現されるハムレットの心境、登場人物のほとんどが一気に死んでいく終盤の構成も圧巻。
読んだ本の記録。
竹本住太夫「文楽のこころを語る」
浄瑠璃の主な演目について、語り手としての思いや工夫を聞き書きでまとめた一冊。ただ抑揚をつけて読み上げているのではなく、いかに心を、情を伝えるのか。そこに気の遠くなるような稽古と試行錯誤がある。
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有吉佐和子「一の糸」
芸道一筋に生きた文楽三味線弾きの露沢徳兵衛と、その後添えとして生涯をささげた酒屋の箱入り娘の茜の一生を、敗戦、文楽会の分裂、鶴澤清六と山城少掾の決別など、現実の出来事をモデルに交え描いた長篇小説。
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石牟礼道子「椿の海の記」
「苦海浄土」以前の水俣、物心つくかつかないかの頃を描いた自伝的小説。
「この世の成り立ちを紡いでいるものの気配を、春になるといつもわたしは感じていた」
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