中野美代子「奇景の図像学」
中国を中心に古今東西の奇景の描かれた絵や図をとりとめもなく読み解いていく。まとまりの無い本だが、多種多様な絵図が収録されていて、眺めているだけでもかなり面白い。
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読んだ本の記録。
中野美代子「奇景の図像学」
中国を中心に古今東西の奇景の描かれた絵や図をとりとめもなく読み解いていく。まとまりの無い本だが、多種多様な絵図が収録されていて、眺めているだけでもかなり面白い。
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野田正彰「狂気の起源をもとめて −パプア・ニューギニア紀行」
約30年前にパプア・ニューギニアの高地で精神病患者の診察を行った記録。精神医学の知見や「分裂病」という表記に時代を感じるけど、西洋文明が入り始めた社会を回った紀行文としても読み応えがある。
高地の村では分裂病の患者は少なく、以前から西洋文明と接触があった海岸部では、日本と同じような症状がみられたという。
精神疾患の発生とその慢性化は「自己と他の関係がかなり固定している文化」と「個性の確立を通して社会と直面する文化」の差に影響される。伝統社会では狂気も文脈付けられ、受容される故、一時的なもので終わることが多いのだろう。
菊池俊彦「オホーツクの古代史」
オホーツクの歴史と言われ、何か具体的なイメージが湧く人が、日本にどれだけいるだろうか。
古代中国の文献に登場し、サハリンかカムチャッカにあったとみられる流鬼国と夜叉国。著者は僅かに残された文献上の記録と発掘調査の結果から、サハリン=流鬼、コリャーク=夜叉と推定する。
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内田樹「街場の文体論」
久しぶりに著者の本を手にとった。コミュニケーション論の総括的な内容で、バルトやソシュールに触れつつ、後半はこれまで繰り返し語ってきた内容に着地。メタ・メッセージの重要性。
ほかにも、丸山真男が海外でも度々参照されるのに吉本隆明がほとんど翻訳されない理由や、司馬遼太郎の内向きさなど、結構示唆に富んでて面白い。
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