東野圭吾「容疑者Xの献身」
スリリングで一気に読んでしまった。物語のテンポの良さ、トリック、終盤のたたみかけるような急展開など、一級のエンターテイメント。ただ、いつものことながら、登場人物の行動にちょっとした違和感も。都合の良い場面で唐突に理解を超えたような愛とか執着が出てきて、純愛、泣ける、という評価には、うーん、という感じ。
読んだ本の記録。
猪瀬直樹「天皇の影法師」
東京日日新聞による世紀の誤報「光文」や、天皇の棺を運ぶ八瀬童子、「明治」「大正」に否定的で晩年を元号の考察に捧げた森鴎外の話など、天皇の崩御を巡る四篇のノンフィクション。
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森達也「A3」
何も解明されないままほぼ終結したオウム裁判。独房で糞尿を垂れ流し、面会時には自慰行為に及ぶ……麻原は公判の途中で訴訟能力(責任能力ではない)を失っていたのではないか。
裁判に限らず、オウムはあたかも“例外”として扱われ、信者には建前の人権すら認められない。懲罰感情ばかりが先走りする社会に著者は異議を唱える。
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