歌人、穂村弘のエッセイ集。タイトル通り、世界と自分の間にちょっとしたずれがあって、対人関係において“自然に”振る舞うということができない自分の姿を面白おかしく綴っている。
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窓ぎわのトットちゃん
戦後最大のベストセラー。少女の成長物語や、教訓に満ちた児童文学としても非常に面白いし、教育論としても今なお読まれる価値がある。
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奇界紀行
“奇界遺産”の撮影を続けるカメラマンのエッセイ集。タイの地獄寺から、台湾のアウトサイダーアート村、トーゴの呪術市場、南米のUFO目撃スポットまで。さらに、イタリアでは澁澤龍彦の足跡を辿り、諸星大二郎とパプアニューギニアを訪れる。
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中島らもエッセイ・コレクション
「中島らもエッセイ・コレクション」(小堀純・編)
中島らものエッセイ集。「生い立ち・生と死」「酒・煙草・ドラッグ」「文学・映画・笑い」「不条理と不可思議」「性・そして恋」など、テーマごとにまとめられたベスト盤的な内容。
型破りな生き方をして早世したイメージが強い作家だが、丁寧に編まれた本書を通じて浮かび上がるのは、その博覧強記ぶりと、他者に向き合う時の真摯さだ。ニヒリストでありながら、ヒューマニスト。恋に関する文章では、ロマンチストでセンチメンタリストな一面ものぞく。
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いつも旅のなか
著者の作品を読むようになったのは比較的最近で、バックパッカーのような旅をしていたことや、旅のエッセイを結構書いていることも知らなかった。
旅行記の面白さには二種類あって、一つは自分ができない旅を体験させてくれること、もう一つは自分がした旅を思い出させてくれること。著者のエッセイは後者(団体旅行しかしたことがない人には前者だろうけど)で、等身大の旅の描写に、読みながらうなずくことが多かった。
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新ゴーゴー・インド
インド旅行記のロングセラー。出版社/雑誌の「旅行人」を主宰する著者の原点であり、1980年代後半以降のバックパッカーに大きな影響を与えた一冊。2001年刊行の新版は、86年刊行版に新たなイラストやデータが追加されている。
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おいしい中東・イスタンブルで朝食を オリエントグルメ旅
トルコ、レバノン、モロッコ、エジプト、イエメン、イスラエル。音楽ライターの著者が中東を旅しつつ、各地の食文化に触れ、現地の料理を習っていく。レシピ付きエッセイ本というより、エッセイ付きレシピ本と言った方がふさわしいくらい各章末のレシピが充実しており、その数52品。いずれも日本で再現可能で、実用性も高い。
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嘘つきアーニャの真っ赤な真実
エッセイの名手である著者が、チェコのソビエト学校時代の友人たちについて綴った3篇。故国を失った/捨てた3人の少女の半生を通じて、中東欧の複雑な現代史が浮かび上がる。
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異国トーキョー漂流記
コンゴで幻獣を探し、東南アジアのアヘン栽培村に住み込み、無政府状態のソマリアを旅する。規格外の旅を軽やかな筆で記してきた高野秀行が、日本で知り合った異国からの友人との思い出を綴ったエッセイ集。
BUTOH(舞踏)に憧れ、自分探しの果てに日本にたどり着いたフランス人から、出稼ぎのペルー人、故国を追われたイラク人まで。登場する人々それぞれのエピソードを通じて、東京はトーキョーに姿を変え、日本の生きづらさも、生きやすさも、改めて浮かび上がる。体当たりのルポとは違う味わいのある“世話物”の一冊。
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枕草子/方丈記/徒然草 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集07
池澤夏樹=個人編集 日本文学全集07
枕草子/方丈記/徒然草
「山が崩れて、川を埋めた。平らなはずの海が、斜めに突き刺さるように、陸を襲った。(中略)震災の直後、人びとは、少し変わったように見えた。目が覚めた。まったくどうしようもない社会だったんだ、といい合ったりしていた。おれたちは、欲に目がくらんでいたんじゃないか、とも。そう、人も社会も、震災をきっかけにして変わるような気がしていた。だが、何も変わらなかった。時がたつと、人びとは、自分がしゃべっていたことをすっかり忘れてしまったのだ」
この「震災」は、今から800年以上前に起きた元暦の地震(文治地震)のこと。
池澤夏樹編の日本文学全集。7巻は三大随筆の現代語訳。酒井順子訳「枕草子」、高橋源一郎訳「方丈記」、内田樹訳「徒然草」。優れた訳文によって、三者三様の雰囲気がよく出ており、清少納言、鴨長明、吉田兼好というのはこういう人だったんだなあということがよく分かる。
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