ギッちょん

山下澄人「ギッちょん」

初期の短編集。木訥とした文章だが、独特のリズムと視点を持って書かれており、丁寧に読み解こうとすると途端に行き詰まる。語り手の見ているもの、意識に浮かんだもの以外を読み手は知ることができない。時系列も視点も混濁した文章に身を任せた時、不思議な情景が浮かび上がる。
“ギッちょん” の続きを読む

トム・ソーヤーの冒険

マーク・トウェイン「トム・ソーヤーの冒険」

米文学を代表する作品の一つで、最も有名なキャラクターとも言えるトム・ソーヤー。子供向けの抄訳には触れたことがあっても、通読したことがある人はそれほど多くないかもしれない。特に最近では「ハックルベリー・フィンの冒険」の方が文学的な評価が高いこともあり、その影に隠れてしまっている印象もある。
“トム・ソーヤーの冒険” の続きを読む