飛行士としての経験を綴ったエッセイ集。僚友たちとの友情や、砂漠に不時着し生死の境をさまよった五日間など、「夜間飛行」や「ちいさな王子(星の王子さま)」の原点となった体験が分かる。
計器等が未発達だった時代、飛行士は死と隣り合わせの職業だった。同時に、飛行機の翼を得ることで、人類は初めて“人間の土地”を外から見ることが出来た。そこに文学が生まれるのは必然だったのかもしれない。
“人間の大地” の続きを読む
読んだ本の記録。
飛行士としての経験を綴ったエッセイ集。僚友たちとの友情や、砂漠に不時着し生死の境をさまよった五日間など、「夜間飛行」や「ちいさな王子(星の王子さま)」の原点となった体験が分かる。
計器等が未発達だった時代、飛行士は死と隣り合わせの職業だった。同時に、飛行機の翼を得ることで、人類は初めて“人間の土地”を外から見ることが出来た。そこに文学が生まれるのは必然だったのかもしれない。
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骨董屋の二階に居候することになった「僕」の目を通して、店長、常連客、大家とその孫姉妹といった人々との日常が綴られる。
著者の他の作品と同様、物語に大きな起伏はない。それどころか、「僕」を含めた登場人物の背景さえほとんど説明されず、日々のやりとりだけが描かれる。「僕」の来歴や、なぜ骨董屋に居候することになったのかなどは最後まで分からない。ただ、淡々とそれぞれの人生を生きていくことを肯定するような柔らかな空気がある。
“夕子ちゃんの近道” の続きを読む
高校の図書部員たちの日常を素朴な筆で綴る。
文化系の青春もの。と言っても、大きな事件が起こるわけでもないし、ドラマティックな展開は何も無い。でもそれこそが青春なんだと思わせる魅力がある。
“ぼくは落ち着きがない” の続きを読む
自分は06年に初めてバンコクを訪れたので、ヤワラー(中華街)が日本人の溜まり場だった時代は知らない。90年代半ばを過ぎると、欧米人が先行して集まっていたカオサン通りに日本人バックパッカーも吸収され、ヤワラーに滞在する日本人は減った。
ヤワラーには楽宮大旅社、台北旅社といった有名な安宿が何軒かあったが、その中でも特に日本人旅行者に人気が高かったのがジュライホテルで、ポーム(ポンちゃん)はその象徴的な存在だったという。
“ジュライホテルのポーム” の続きを読む
かなり久しぶりに再読。村上春樹の長篇小説は要約が不可能か、要約すると意味を成さなくなるものが多いが、この作品は比較的あらすじが説明しやすい。
“国境の南、太陽の西” の続きを読む
歌人、穂村弘のエッセイ集。タイトル通り、世界と自分の間にちょっとしたずれがあって、対人関係において“自然に”振る舞うということができない自分の姿を面白おかしく綴っている。
“世界音痴” の続きを読む
ハリウッドの脚本家による脚本術の本だが、優れた物語の構造分析としても読むことができ、脚本や小説だけでなく、プレゼンテーションや講演、論文執筆まで、幅広い分野のヒントになりそう。何より文章がユーモアに満ちていて、読み物としても非常に面白い。
“SAVE THE CATの法則” の続きを読む
「悪童日記」(原題“Le grand cahier”=大きなノート)の続編。巻が進むに連れ、文体とともに物語の見え方も大きく変わる。
“「ふたりの証拠」「第三の嘘」” の続きを読む
久しぶりの海外ミステリー。「ボーン・コレクター」から始まるリンカーン・ライムシリーズの第7弾。
“ウォッチメイカー”と名乗る犯罪者が、様々な拷問手法に想を得た残虐な手段で犯行を重ねていく。それに立ち向かうのは、科学捜査のプロフェッショナルで、四肢麻痺の天才――いわゆる安楽椅子探偵――のリンカーン・ライム。相棒で恋人のアメリア・サックス、キネシクスを用いた尋問のエキスパート、キャサリン・ダンスらとともに捜査を続けるうちに、ウォッチメイカーの事件と、警察官らによる汚職事件が交錯し、物語の展開は後半に行くにつれて加速していく。
“ウォッチメイカー” の続きを読む