伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」
ミステリとしては不自然さも残るが、構成が巧くて最後まで一気読み。
本屋襲撃にペット殺し、“3人の物語”に途中参加した僕が戸惑うように、読んでいるこちら側も翻弄される。青春小説としても良い感じ。
読んだ本の記録。
乾ルカ「夏光」
スナメリの祟りでできた顔の痣。耳の奥から鈴の音がする少年……。
ホラーというより、不気味なタッチで世界の残酷さ、少年時代の切なさを描いた感じ。子供の視点が瑞々しくて、デビュー作とは思えない完成度の高さ。
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西村賢太「小銭をかぞえる」
自分の屑さを客観視し、エンターテイメントとして提示する。この視点はかつての私小説には無かった(というより、ここまであっけらかんとしていなかった)もので、読みながら共感はできないが、大変面白い。
町田康が解説で“自由の感覚”と呼んでいるのがしっくりくる。
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