渡辺一史「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」
人工呼吸器をつけながら、親元を離れて自由に生きることを求める鹿野さんと、それを24時間体制で支えるボランティア。介助する側とされる側が互いの関係を問い続けたことが、“自立”生活を可能にした。
美談でもアンチ美談でもない、著者自身の悩みも含めた誠実な筆致が印象的。
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読んだ本の記録。
渡辺一史「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」
人工呼吸器をつけながら、親元を離れて自由に生きることを求める鹿野さんと、それを24時間体制で支えるボランティア。介助する側とされる側が互いの関係を問い続けたことが、“自立”生活を可能にした。
美談でもアンチ美談でもない、著者自身の悩みも含めた誠実な筆致が印象的。
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米本和広「新装版 洗脳の楽園」
「無所有一体」を掲げ、我執=自我を捨てた“ユートピア”ヤマギシ会。解離状態に陥らせる「特講」、徐々に生まれる上下関係や命令の形をとらない強制力など、二十世紀、世界各地で悲劇を招いた社会主義の実験を彷彿とさせる。
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山本作兵衛「新装版 画文集 炭鉱に生きる 地の底の人生記録」
国内で初めて世界記憶遺産に登録された元炭坑夫の画文集。半世紀以上をヤマで暮らし、ヤマが消えた後、夜警をしながら残した大量の記録。労働の光景から事故、道具、俗信……決して“写実的”とは言えない絵だが、労働者自身による記録は圧倒的な迫力がある。
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片野ゆか「ゼロ! こぎゃんかわいか動物がなぜ死なねばならんと?」
「明日の処分、本当になかとですか」
犬の殺処分ほぼゼロを達成した熊本市動物愛護センター。年間約700頭が週2回に分けてガス室に送られていた00年。引き取りを依頼する無責任な飼い主の説得と、収容された犬のトレーニング、譲渡先探しの徹底を経て、ガス室は稼働しなくなった。
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アビジット・V・バナジー、エステル・デュフロ「貧乏人の経済学 ―もういちど貧困問題を根っこから考える」
マクロな“貧困の経済学”ではなく、ミクロな“貧しい人の経済学”。
極めて貧しい人たちが、なぜ事業を営むのか。なぜ事業が拡大し得ないのか。食料に、蚊帳に、教育に費やすコストが予想より低くなるのはなぜなのか――。
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大澤真幸「夢よりも深い覚醒へ ―3・11後の哲学」
リスク社会では中庸は最も無意味な選択肢になり、人は「リスクの致命的な大きさ」より、「リスクは事実上起きない」に傾いてしまう。命と経済性の天秤――倫理的に答えは明らかだが、その命が、想像の及ばない不確定な未来の命になった時、それは答えの無い“ソフィーの選択”になる。
原発事故を総括し、脱原発への思想を立ち上げようという試み。
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姜尚中、中島岳志「日本 根拠地からの問い」
近代以降の日本における「保守」の系譜をなぞりつつ、パトリとステートの関係を考える対談。
現在の日本には本来の意味で保守と呼べる思想は無い。
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