500冊以上(!)の著書があるという多作な作家だが、これまで作品に触れたことが無かった。これは静岡のローカル線、天竜浜名湖鉄道を舞台にした作品で、十津川警部シリーズの一冊。
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グアテマラの弟
エッセイの名手とは聞いたことがあったが、これほど素敵な文章を書く人だとは。グアテマラで暮らしている弟を訪ねた旅の話に、幼い頃の家族の思い出などが挟まれる。少し手を入れるだけで、それぞれのエピソードがそのまま洒落た短編小説になりそうな趣がある。
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良寛 旅と人生 <ビギナーズ・クラシックス 日本の古典>
松本市壽「良寛 旅と人生 <ビギナーズ・クラシックス 日本の古典>」
非常によくまとまっていて入門にも最適の一冊。個人的には良寛というと漢詩のイメージが強かったが、改めてその作品と生涯に触れ、晩年の歌が強く心に残った。
「手ぬぐひで 年をかくすや 盆踊り」
「形見とて 何残すらむ 春は花 夏ほととぎす 秋はもみぢ葉」
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西行 魂の旅路 <ビギナーズ・クラシックス 日本の古典>
西澤美仁「西行 魂の旅路 <ビギナーズ・クラシックス 日本の古典>」
和歌を解するような風雅な心も知識も無いけれど、西行から芭蕉、山頭火に至る旅する歌人が残した歌には幾つか心惹かれるものがある。それは、歌の精神性の高さに感銘を受けるというよりは、身近で分かりやすい感慨を素直な言葉で表現しているからだと思う。
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黒いトランク
ジュライホテル バンコクの伝説の安宿
バンコクの安宿街といったらカオサン通りが有名(今はもう違うかも)だが、90年代半ばまではカオサンに滞在するのは欧米人が中心で、日本人旅行者の溜まり場はチャイナタウンだった。自分は直接その時代を知るわけではないが、楽宮旅社や台北旅社、ジュライホテルの名前は、アジアを旅したことがあるバックパッカーなら聞いたことがある人も多いのではないかと思う。
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フィリピンパブ嬢の社会学
新書で、このタイトル。新書に多い「タイトルだけ秀逸」という“出落ち”を警戒して読み始めたが、非常に面白いルポルタージュだった。
真面目な大学院生だった著者は、在日フィリピン人女性を研究テーマとし、論文の題材としてフィリピンパブのことを調べるうちに、ホステスの「ミカ」と恋に落ちてしまう。そのミカとの交際や、家族との出会いを通じて、外国への出稼ぎに頼らざるをえないフィリピン社会と、日本に来るフィリピン人女性たちの置かれた状況が浮き彫りになる。
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勝手にふるえてろ
主人公は、誰とも付き合ったことが無いまま26歳になってしまったオタク女子。中学生の頃から片思いしている相手と、言い寄ってきた職場の同僚の間で、妄想の二股気分に揺れている。
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世界最低最悪の旅
終わってみれば、旅はトラブルこそが面白い。下痢で悶絶し、ハードな移動で消耗し、行く先々で騙され、たかられ、それでも喉元過ぎれば何とやら。トラブルの無い旅は、きっと印象にも残らない。そんなバックパッカーの失敗談や悲惨な話を集めた一冊。
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十七世紀のオランダ人が見た日本
十七世紀、日本の姿がどうヨーロッパの国々に紹介されたのか。当時、唯一の交易相手国だったオランダ商人の記録などをもとに西欧における日本観の形成を明らかにする。
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