萩原朔美「『演劇実験室天井桟敷』の人々 ―30年前、同じ劇団に居た私たち」
寺山修司の「天井桟敷」にいた人々はその後、どう人生を送ったのか。当時の仲間を劇団員の一人だった著者が訪ね歩いたエッセイ。
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読んだ本の記録。
萩原朔美「『演劇実験室天井桟敷』の人々 ―30年前、同じ劇団に居た私たち」
寺山修司の「天井桟敷」にいた人々はその後、どう人生を送ったのか。当時の仲間を劇団員の一人だった著者が訪ね歩いたエッセイ。
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高山文彦「どん底 部落差別自作自演事件」
被差別部落の出身で役場の嘱託職員の男が、自身と関係者に差別ハガキを送り続け、偽計業務妨害で有罪になった事件。自作自演の背景に迫りつつ、現在も根深く残っている部落差別を浮き彫りにし、その闘争史に光を当てる力作。“犯人”だけでなく、関係者一人ひとりの人生を丁寧に追っている。
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ローラン・ビネ「HHhH」
タイトルはHimmlers Hirn heißt Heydrich(ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる)という言葉から。ハイドリヒの暗殺事件を題材にしているが、一般的な歴史小説の文体をとらず、語り手が頻繁に登場し、叙述の悩みを吐露するメタ構造をとっている。
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水木しげる、荒俣宏「戦争と読書 水木しげる出征前手記」
水木しげるが徴兵される直前に書いた手記。手記そのものは短く、半分以上が荒俣宏による解説で、それも水木の戦争体験というよりは、戦前の若者の教養主義についての内容。目前に迫った死の可能性にどう向き合うか。それは生きる意味にもつながってくる。戦前の青年がとにかくよく本を読み、よく悩んだという事実に驚かされる。
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岡田暁生「西洋音楽史 ―『クラシック』の黄昏」
いわゆる「クラシック」の前史も含めた西洋音楽の通史。とても分かりやすく、読み物としても面白い。作曲家や名曲の解説は少なく、音楽がどう変化して現在の形になったか、音楽と社会の関係がどう変わってきたか、という内容。
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氏家幹人「江戸の性風俗」
日本社会の性に対する態度はいつから今のようになったのだろうか。常識というのは意外なほど歴史が浅い。著者は、川路聖謨の日記を読み解き、武家で開けっぴろげに下ネタが語られていたことを明らかにする。さらに「肌を合わせる」という言葉がかつては第一義的に精神的な信頼関係を意味し、決して現在のように肉体関係のみを表すのではなかったことを指摘する。当時は肌の接触と心の結びつきは不可分の関係にあった。プラトニック・ラブは現代の文化なのだ。
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