渡辺一史「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」
人工呼吸器をつけながら、親元を離れて自由に生きることを求める鹿野さんと、それを24時間体制で支えるボランティア。介助する側とされる側が互いの関係を問い続けたことが、“自立”生活を可能にした。
美談でもアンチ美談でもない、著者自身の悩みも含めた誠実な筆致が印象的。
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読んだ本の記録。
渡辺一史「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」
人工呼吸器をつけながら、親元を離れて自由に生きることを求める鹿野さんと、それを24時間体制で支えるボランティア。介助する側とされる側が互いの関係を問い続けたことが、“自立”生活を可能にした。
美談でもアンチ美談でもない、著者自身の悩みも含めた誠実な筆致が印象的。
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2012年の読書数は130冊(前年比19冊減)、37016ページ(同約1万ページ減)。
古い本は除いて、印象に残ったもの。
まずノンフィクションから。
松本仁一「兵隊先生 沖縄戦、ある敗残兵の記録」
増田俊也「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」
高山文彦「エレクトラ―中上健次の生涯」
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寺田寅彦「柿の種」
物理学者で俳人でもある寺田寅彦。他愛ない日常の話題が多いが、短いコラムの見本と言えるほど、すとんと心の中に入ってくる。大正時代の文章とは思えない。
「脚を切断してしまった人が、時々、なくなっている足の先のかゆみや痛みを感じることがあるそうである。総入れ歯をした人が、どうかすると、その歯がずきずきうずくように感じることもあるそうである。こういう話を聞きながら、私はふと、出家遁世の人の心を想いみた。生命のある限り、世を捨てるということは、とてもできそうに思われない」
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大崎善生「将棋の子」
プロ棋士を目指した少年のその後を訪ねたノンフィクション。
奨励会に所属し、26歳までに四段という厳しい昇段規定を達成できなければ、プロになる道はほぼ完全に閉ざされる。誕生日を迎えるたびに募る焦燥感。わずか一手の差から、青春のほとんどすべてをかけた夢が破れていく。その時、どう生きていくのか。
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柳宗悦「民藝とは何か」
本当の美は日用品の中にこそ宿る。昭和初期に民藝運動を提唱した柳宗悦。歯切れが良く、読んでいて気持ちが良い。
「なぜ特別な品物よりかえって普通の品物にかくも豊かな美が現れてくるか」 「前者の有想よりも後者の無想が、より清い境地にあるからです。意識よりも無心が、さらに深いものを含むからです。主我の念よりも忘我の方が、より深い基礎となるからです。在銘よりも無銘の方が、より安らかな境地にあるからです。作為よりも必然が、一層厚く美を保証するからです。個性よりも伝統が、より大きな根底と云えるからです。人知は賢くとも、より賢い叡智が自然に潜むからです」
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