尾崎翠「第七官界彷徨」
これまた不思議な小説。
少女と兄2人と従兄との共同生活の物語。誰もが誰かに失恋している。
“第七官”に届く詩を書きたいとか、蘚の恋のために部屋で肥やしを煮るとか、少女漫画のような雰囲気と、シュールで前衛的な雰囲気、切ない叙情的な雰囲気とが混ざり合って、最後まで読んでも結局良くわからないまま。仮名遣いとか作中に出てくる品を除けば、いつの時代の作品か全く想像ができそうにない。
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読んだ本の記録。
尾崎翠「第七官界彷徨」
これまた不思議な小説。
少女と兄2人と従兄との共同生活の物語。誰もが誰かに失恋している。
“第七官”に届く詩を書きたいとか、蘚の恋のために部屋で肥やしを煮るとか、少女漫画のような雰囲気と、シュールで前衛的な雰囲気、切ない叙情的な雰囲気とが混ざり合って、最後まで読んでも結局良くわからないまま。仮名遣いとか作中に出てくる品を除けば、いつの時代の作品か全く想像ができそうにない。
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大江健三郎「万延元年のフットボール」
久しぶりの大江作品。とにかく過剰。描写も要素も醜悪さも希望も。
万延元年の一揆を通奏低音とした作品だが、要約が不可能なほど主題が入り組んでいる。
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織田作之助「夫婦善哉 完全版」
商家のぼんぼんの駄目男、柳吉と、勝ち気で一途な元芸者の蝶子。商売を始めても柳吉が放蕩して使い果たしてしまい、生活は何度も行き詰まる。どうしようも無い話が延々と続いていくのに、なぜかとても魅力的。終盤の「一人より女夫(めおと)の方が良えいうことでっしゃろ」の台詞がぐっとくる。
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佐野真一「宮本常一の写真に読む失われた昭和」
日本中の村という村を歩き、十万点の写真を残した宮本常一。民家の軒先や畑、林……写真家ではなく、あくまでメモとして写したものなので「写真」としての質が高いわけではないが、それらの写真は土地の人々がどんな生活をし、自然の中でどう労働してきたのかを雄弁に伝えている。
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ガブリエル・ガルシア=マルケス「族長の秋」
独裁者の物語。「百年の孤独」と同じように神話的だが、なんと饒舌なのだろう。「われわれ」から始まり、一人称も時間軸も混沌として、誰が話しているのか分からない文体。改行も無く、ブラックで超現実的なエピソードが延々と続く。濃密で、やかましいくらいなのに、そこには強烈な孤独が滲む。
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石井光太「アジアにこぼれた涙」
「旅行人」に連載されていたもの。アフガントラックの絵師、スラムの少年の夢、日本人に捨てられたジャカルタのニューハーフ……。最近相次いで本を出している著者だが、これは特に思い入れのあるエピソードを集めたのだろう。どれも非常に強い印象が残る。
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