「本当の自分」に囚われることほど、しんどいことはない。著者は「個人」という神話を解体し、人間を複数の人格=分人の集合として捉えることを勧める。
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銀河鉄道の父
宮沢賢治の父、政次郎の物語。“親バカ”であることが難しかった時代、厳格な父(賢治の祖父)、喜助から「父でありすぎる」と言われてしまう政次郎の目を通じて、賢治と宮沢家の姿が描かれる。第158回(2017年下期)直木賞受賞作。
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渦 妹背山婦女庭訓 魂結び
浄瑠璃作者、近松半二の生涯を書く時代小説。近松門左衛門の縁者か弟子のように思われがちな名前だが、直接の関係はなく、半二が門左衛門に私淑して近松姓を名乗った。
近松半二こと穂積成章は、儒学者で浄瑠璃好きの父のもとで育ち、道頓堀の竹本座に通ううちに浄瑠璃を書くようになる。同時代の歌舞伎作者、並木正三と半二を幼馴染みの関係としたフィクションの設定が物語を魅力的なものにしている。
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アムリタ
男好きする母、年の離れた繊細な弟、下宿しているいとこ、訳あって身を寄せている母の幼なじみ、頭を打って記憶が不確かな私。少し変わった五人家族。
妹は若くして死を選び、私はその恋人と付き合い始める。どこまでも続いていきそうな穏やかな日常に、当たり前の日常から少しずれてしまった人々が登場する。
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夜のピクニック
「歩行祭」と呼ばれる高校行事で夜通し歩く生徒たちの姿を描いた青春小説。第2回(2005年)本屋大賞受賞作。
異母きょうだいでクラスメートでもある融と貴子の関係を軸に、高校生の男女が友人や恋人、家族との関係で悩みながら生きている姿が、刻一刻と変化していく夜を背景に描かれる。
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犬は「びよ」と鳴いていた~日本語は擬音語・擬態語が面白い~
山口仲美『犬は「びよ」と鳴いていた~日本語は擬音語・擬態語が面白い~』
わんわん、びりびり、しとしと、つるり。擬音語・擬態語のあり方は、世界の見え方、聞こえ方を司ると言っても過言ではない。
日本語の擬音語・擬態語の数は他の言語と比べてもかなり多いとされる。日本語学者の著者は擬音語・擬態語の移り変わりから、日本語と日本社会の変化をひもといていく。
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花の棺/殺意のまつり
ベストセラーであるが故に語られず、忘れられてしまう作家がいる。“女王”とも称された著者の作品も、今や絶版となって手に入らないものが少なくない。
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星々の舟
第129回(2003年上半期)の直木賞受賞作。ある家族の物語が章ごとに視点を変えて綴られる。
道ならぬ兄妹の恋の物語は、家族一人一人の人生が語られていくうちに、歴史と記憶が織りなす重層的な物語となる。
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オキナワの少年
芥川賞を受賞しながらも、世間から忘れられてしまった作家は少なくない。著者もその一人に挙げられることが多いが、「忘れられた」と一言で形容するには、その半生は複雑で起伏に富んでいる。
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献灯使
表題作は、原発事故を思わせる大災害を経て鎖国した日本が舞台。老人は死なず、若年層は虚弱で早世の運命にある。主人公の義郎は100歳を超え、食事も着替えも一人ではままならない曾孫の無名の世話をしながら暮らしている。
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