地図から消される街 3.11後の「言ってはいけない真実」

青木美希『地図から消される街 3.11後の「言ってはいけない真実」』

8年が経ち、ついこの間の出来事のような気もする一方で、現在の問題ではないという印象も強くなっているように感じる。元号が変われば、風化の感覚は一層進むだろう。

言うまでもなく、原発事故は過去ではなく今の問題であり、廃炉作業だけでなく、避難者の苦悩も現在進行形である。母子で自主避難し、支援の打ち切りで困窮して自ら命を絶った母親のエピソードが紹介されているが、原発事故という特殊な人災の最大の罪は、人々の間に分断をもたらしたことだった。避難するか、留まるか。その溝は家庭の中にも生まれた。同時に、一部の例外をもって避難者を裕福だと誹謗したり、自主避難者を過敏だと嘲笑するような、社会の想像力の欠如も露わになった。
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まほろば

蓬莱竜太「まほろば」

第53回(2009年)岸田賞受賞作。

田舎の旧家を舞台とした女性6人の会話劇。“家”のため、娘に婿を取らせたい母、恋人と別れて帰ってきたアラフォーの長女、シングルマザーの次女、妊娠が分かったその娘、近所のませた少女、おおらかな祖母。男は外から聞こえる祭り囃子の声でしか登場しない。
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