お伽草紙

太宰治「お伽草紙」

これは良いなあ。太宰治は、このくらいの勢いで書いた作品の方が本来の才能がにじみ出ている気がする。特に舌切り雀なんて仮名遣いを除けばまったく古さを感じない。

百年の孤独

ガブリエル・ガルシア=マルケス「百年の孤独」

要約が不可能なほど、豊かで圧倒的な密度の物語。本当に力を持った物語に触れると、感想は出てこない。

好き好き大好き超愛してる。

舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」

死や物語に真摯に向き合い、思い切った構成も良いんだけど、どこか物足りない。 中高生向けなのか、安っぽいケータイ小説へのアンチテーゼとしてあえて同じレベルに落としているのか。終わりの方はちょっと良かった。

八つ墓村

横溝正史「八つ墓村」

もはや古典だが、松本清張より古さを感じさせない。 田舎の閉鎖的な雰囲気と、物語そのものに引き込まれる。漫画でも、ドラマや映画でも、この作品のオマージュというべきものがたくさんあるが、原点にして完璧。

新釈 走れメロス 他四篇

森見登美彦「新釈 走れメロス 他四篇」

上手いな~。読んで面白いだけでなく、感心してしまう出来。

この人の文体は、古典小説の真似と、大学生のくだらないノリが上手く混ざり合っている。巧みな名作のパロディに終始にやにや。

1Q84 BOOK3

村上春樹「1Q84 BOOK 3」

おそらく、この物語はこれで完結したのだろう。BOOK3で意外なほど、おとなしく着地してしまった。BOOK1、2を読み終えた時は未完成だと感じたが、通読すると、2で一応すべての要素は出尽くし、完結していたような気もする。
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告白

町田康「告白」

あまりに思弁的で、百姓としても侠客としても生きられず、身を滅ぼしていく主人公・熊太郎。

「河内十人斬り」の実話を基にした一風変わった時代小説。「告白」のタイトルどおり、主人公の内面描写が800ページ延々と続くが、河内弁の饒舌な語り口で冗長さは感じさせない。

飢餓同盟

安部公房「飢餓同盟」

寂れた田舎町で、中身の無い空虚な革命を目指した男は次第に狂っていく。1954年刊の安部公房の初期作品。左翼でありながら、左翼に対する冷めた見方も持つ安部公房の立場がうかがえる。