本谷有希子「ぬるい毒」
自意識過剰で劣等感をこじらせた主人公と下衆な男。タイトルの通り、最初から最後まで嫌な感じのする恋愛小説。
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読んだ本の記録。
サン=テグジュペリ「ちいさな王子」
光文社の新訳。「星の王子さま」で知られる内藤濯訳を読んだのは中学か高校の時だったから良く覚えていないけど、この新訳は童話調の表現を廃したシンプルな文体で、物語の芯がよりはっきり浮かび上がっている。70年前の作品というのが信じられない。大人向けの寓話としてはこれ以上のものは存在し得ないだろう。
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開高健「夏の闇」
日本でもベトナムでも無い異国の地で、眠り、食、性の描写が続く。
ベトナムが舞台だった「輝ける闇」より文体や思考は濃密になっているのに、そこには生の実感と呼べるようなものがほとんど無い。現実の近さを取り戻すためには、ベトナムに戻るしかないのだろうか。
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