西村賢太「苦役列車」
酒飲みで、友達も女もいない。風俗が好き。港湾労働で日銭を稼ぐダメ男。
「小銭をかぞえる」の方が破天荒で面白かったけど、これもなかなか。
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読んだ本の記録。
大江健三郎「万延元年のフットボール」
久しぶりの大江作品。とにかく過剰。描写も要素も醜悪さも希望も。
万延元年の一揆を通奏低音とした作品だが、要約が不可能なほど主題が入り組んでいる。
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織田作之助「夫婦善哉 完全版」
商家のぼんぼんの駄目男、柳吉と、勝ち気で一途な元芸者の蝶子。商売を始めても柳吉が放蕩して使い果たしてしまい、生活は何度も行き詰まる。どうしようも無い話が延々と続いていくのに、なぜかとても魅力的。終盤の「一人より女夫(めおと)の方が良えいうことでっしゃろ」の台詞がぐっとくる。
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中上健次「千年の愉楽」
“死んだ者や生きている者らの生命があぶくのようにふつふつと沸いている”路地の産婆、オリュウノオバと若くして死ぬ中本一統の澱んだ血。改行や句読点が少なく読誦のように紡がれる文章。小説としてのコンセプトは紀州版「百年の孤独」だろうけど、文章の端々から土地の匂い、“夏芙蓉”の香りが漂ってくるよう。
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ガブリエル・ガルシア=マルケス「族長の秋」
独裁者の物語。「百年の孤独」と同じように神話的だが、なんと饒舌なのだろう。「われわれ」から始まり、一人称も時間軸も混沌として、誰が話しているのか分からない文体。改行も無く、ブラックで超現実的なエピソードが延々と続く。濃密で、やかましいくらいなのに、そこには強烈な孤独が滲む。
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村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」
3部作や他の作品は何度か読み返してきたが、この作品はずいぶん久しぶり。
後日譚という自由さからか、登場人物のキャラ作りも含めて、愉悦的とも感じられるほど饒舌な語り口。
これ以前の作品で描かれたぼんやりとした喪失感は、はっきりと死という形で周りにあふれ出す。同時にこれまでディスコミットメントを徹底し、表面的には無感動だった主人公は現実への執着と焦燥感を見せる。
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