恋する原発

高橋源一郎「恋する原発」

予想以上に不謹慎、想像以上にカオス。震災チャリティーAVを巡り、原発、宗教、天皇、北朝鮮に始まり、ディズニー、AKB、けいおん……、今ぱっと思いつく限りの「批判できない空気」があるテーマをエログロ交えて書き荒らす。

十年後、二十年後まで残っているような名作とは思わないけど、面白い。こういう作品が出せるのが文学や小説の懐の深さだろう。

一億三千万人のための小説教室

高橋源一郎「一億三千万人のための小説教室」

「教室」の形をとった高橋源一郎流の文学論。ことばを楽しむこと、自分なりの世界の見方を掴まえること、まねること。

新書ということもあって、あっさり気味だけど、本質的。真摯な作家だと思う。

至福千年

石川淳「至福千年」

開国と攘夷に揺れる幕末の江戸で聖教の楽園を築くため、暗闘する千年会。破天荒な人物、自在な展開に最後まで引き込まれる。何よりも古文を思わせる無駄のない流れるような文体。美しい。

僕僕先生

仁木英之「僕僕先生」

唐代中国を舞台に、ニート青年、王弁が美少女仙人に弟子入りして旅に出る。物語的には特にひねりも何もない展開だけど、個人的に、こういうゆるいファンタジーものは好き。

何より登場人物が魅力的。漫画でもアニメでもいけそうな題材だけど、王弁と僕僕先生の、この絶妙な距離感は小説じゃないと出せないとも思う。