萩原朔美「『演劇実験室天井桟敷』の人々 ―30年前、同じ劇団に居た私たち」
寺山修司の「天井桟敷」にいた人々はその後、どう人生を送ったのか。当時の仲間を劇団員の一人だった著者が訪ね歩いたエッセイ。
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読んだ本の記録。
萩原朔美「『演劇実験室天井桟敷』の人々 ―30年前、同じ劇団に居た私たち」
寺山修司の「天井桟敷」にいた人々はその後、どう人生を送ったのか。当時の仲間を劇団員の一人だった著者が訪ね歩いたエッセイ。
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扇田昭彦「才能の森 ―現代演劇の創り手たち」
寺山修司、唐十郎から、井上ひさし、安部公房、野田秀樹、杉村春子や朝倉摂まで24人。長く演劇の取材をしてきた著者だけに、それぞれの演劇人の人柄まで伝わってくる文章。
特に印象に残ったのが、多国籍の俳優による舞台に70年代から取り組んできたピーター・ブルックの言葉。
「演技の命は相違だからです。(中略)非常に異なった人たちが一緒に芝居をしているのを見ると、観客の中にある何かが、単純な形で開かれるのです。このため観客は、人と人との違いを喜びとともに味わうことができます。これは人種差別の逆です。人種差別とは憎しみをもって人と人との違いを見ることが基本にありますからね」
今でこそ、映画でも舞台でもキャストの多様性が珍しくなくなったが、その先駆性に驚かされる。憎しみをもって違いを見る、差別の本質をこれほど簡潔に言い表した言葉はない。
風間研「小劇場の風景 ―つか・野田・鴻上の劇世界」
60年代以降の小劇場の動きを追ったものだが、副題にあるように、つかこうへい、野田秀樹、鴻上尚史の3人が中心。小劇場史と呼ぶには物足りないが、別役実、鈴木忠志、唐十郎らの第1世代に比べると第2世代以降についてしっかり書かれた本は少ないため、当時の空気が分かる貴重な一冊。社会風俗の視点にとどまらず、作品内容についても丁寧に触れており、時代ごとに若者の語る物語がどう変わってきたかがよく分かる。92年の出版で、この本で現代を捉えていると評価されている鴻上の作品も、今となってはまさに80年代後半〜90年代らしい作品だったと言え、時代の変化の激しさを感じる。
岩井秀人「ヒッキー・カンクーントルネード」
初めてハイバイの舞台を見た時、演劇ってこんなに面白いのか、と思った。
ハイバイは決して奇抜で新しいことをしている劇団ではないが、舞台に小説や映画では表現し得ない奥行きが感じられた。
そのハイバイを主宰する岩井秀人の初小説。再演を重ねている劇団代表作の小説化で、原作の面白さは折り紙付き。そこに小説ならではの面白さも加わった。
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