新編 越後三面山人記

田口洋美「新編 越後三面山人記」

ダムに沈んだ山人集落の記録。著者は新潟県北部、朝日連峰の山中にある三面集落に1985年の閉村直前に長期滞在し、16ミリフィルムでその生活を記録した。狩りの習俗から、採集、農耕、日常生活まで、村人の語りを中心に丁寧にまとめており、失われた山村の生活の貴重な証言となっている。
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あふりこ

川瀬慈編著「あふりこ フィクションの重奏/遍在するアフリカ」

人類学者5人の共著だが、研究報告ではなく、フィクション。

収録作は、川瀬慈「歌に震えて」「ハラールの残響」、村津蘭「太陽を喰う/夜を喰う」、ふくだぺろ「あふりか!わんだふる!」、矢野原佑史「バッファロー・ソルジャー・ラプソディー」、青木敬「クレチェウの故郷」の6編。エチオピア北部で歌を生業とする人々「ラワジ」や、西アフリカの妖術師など題材はさまざま。いずれも実験的な構成、内容で、小説、随想、散文詩などの境界を越えて、読み手を多様なアフリカの姿に誘う。
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薄情

絲山秋子「薄情」

舞台は群馬。地方都市の郊外。タイトルに「薄情」とあるのは、主に語り手の宇田川静生の感情の起伏の無さ、人間関係の粘りの無さを表しているが、物語が展開する農村と市街地の境界の、景色の密度、人間の密度の薄さもその言葉にどこか重なる。
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