「ワンダー Wonder」で描かれなかった三つの物語。後日譚ではなく、前作でいじめっ子として描かれたジュリアンと、幼なじみのクリストファー、優等生のシャーロットの3人の視点で、それぞれの学校生活が綴られる。
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海の見える理髪店
行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000km歩いた男の冒険
春間豪太郎「行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000km歩いた男の冒険」
ロバに荷車を引かせてモロッコを南北に縦断。モロッコと言ってもアトラス山脈から地中海にかけての地域で、人跡未踏の地を行く前代未聞の大冒険!という性質の挑戦ではないが、行く先々で起こる事件や出会いの一つ一つが非常に面白く、旅の魅力に富んでいる。どことなく、電波少年の旅のようなノリ。
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4TEEN
異類婚姻譚
2015年下半期の芥川賞受賞作。
「異類婚姻譚」と言えば古くからある説話の一類型だが、ここで描かれるのは現代の夫婦関係。会社員の夫と暮らす専業主婦の視点で、現代の説話は綴られる。
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流
2015年上半期の直木賞受賞作。この回は芥川賞の又吉直樹「火花」が話題をほぼ独占してしまったが、直木賞のこの作品も近年にない傑作として異例の高い評価を集めた。
舞台は戦後の台湾。抗日戦争から国共内戦の時代を生き延び、大陸から台湾に渡った祖父の死を巡る謎を背景として、語り手の「私」の青春が綴られる。猥雑で熱気あふれる台湾の街の描写は、匂いが漂ってくるよう。
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日本文学盛衰史
小説はうそをつきやすい。真顔で出鱈目を書き連ね、うそと真実の境界を無効化してしまうことができる。高橋源一郎のこの小説は、新たな日本語文学を生み出そうと苦闘した近代作家たちの姿を描きながら、そこにさも当然のような顔で現代の風俗が紛れ込んでいる奇妙な長編小説。そこでは史実と妄想の境界は曖昧になり、うそと真実が重なり合う。
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エキゾティカ
上海からバリ、インドまで、アジアのさまざまな国を舞台にした中島らもの短編集。寓話のようなエピソードから、日常を切り取った一篇まで、短くも鮮やか、不思議な読後感がまさに“らも節”。食事の描写が多く、その土地の匂いが漂ってくる。
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おいしい中東・イスタンブルで朝食を オリエントグルメ旅
トルコ、レバノン、モロッコ、エジプト、イエメン、イスラエル。音楽ライターの著者が中東を旅しつつ、各地の食文化に触れ、現地の料理を習っていく。レシピ付きエッセイ本というより、エッセイ付きレシピ本と言った方がふさわしいくらい各章末のレシピが充実しており、その数52品。いずれも日本で再現可能で、実用性も高い。
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入門 東南アジア近現代史
1年半ほど前、バリン会談を再現したマーク・テのパフォーマンスを見て、マレーシア、ひいては東南アジアの現代史を全然知らない自分に気づき愕然とした。その後、手頃な概説書を探したが、戦後史に関して新書や文庫で気軽に読める本がほとんどないことを知り、重ねて驚いた。言うまでも無く、東南アジアは日本との結びつきも強く、在留邦人や旅行者の数も多い。比較的身近な地域であるにも拘わらず、経済的な面を除いてはあまり関心を寄せられてこなかった。
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