村上春樹「騎士団長殺し」
第1部 顕れるイデア編、第2部 遷ろうメタファー編
これを成熟とみるか、停滞とみるか。集大成ととるか、懐古趣味ととるか。評価が大きく分かれそうな印象を受けた。
妻が離れていき、社会と隔絶された孤独な環境に身を置く。やがて非日常への誘い手となる不思議な存在やミステリアスな少女が現れて……。さらに、井戸のような深い穴、得体の知れない暴力の予感、戦争の記憶、完璧で奇妙な隣人、様々な楽曲への言及など、過去の作品で繰り返されたモチーフが満載。
「神の子どもたちはみな踊る」以降、三人称を取り入れるなど、常に新しいものを書こうとする姿勢が目立っていただけに、久しぶりの一人称(「僕」ではなく「私」だけど)の文体と相まって、少し驚かされた。
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