団鬼六「真剣師 小池重明」
「新宿の殺し屋」と呼ばれた真剣師(賭け将棋師)、小池重明の評伝。後のタイトル保持者も含めプロを次々と破るほどの腕を持ちながら、酒や金絡みのトラブルが絶えず、3度も人妻と駆け落ちするなど浮き沈みの多い44年の人生を送った。
“真剣師 小池重明” の続きを読む
読んだ本の記録。
団鬼六「真剣師 小池重明」
「新宿の殺し屋」と呼ばれた真剣師(賭け将棋師)、小池重明の評伝。後のタイトル保持者も含めプロを次々と破るほどの腕を持ちながら、酒や金絡みのトラブルが絶えず、3度も人妻と駆け落ちするなど浮き沈みの多い44年の人生を送った。
“真剣師 小池重明” の続きを読む
日本推理作家協会「ミステリーの書き方」
現役ミステリー作家に、プロット、人物描写、トリック等さまざまな観点から創作手法を聞き、寄稿とインタビューでまとめた一冊。綾辻行人や有栖川有栖ら新本格派から、東野圭吾、石田衣良といったジャンル横断型、大沢在昌、船戸与一らハードボイルド系まで、顔ぶれも豪華というか主要作家はほぼ網羅。書き方指南というより、それぞれの作家の小説観や創作姿勢が伺えて面白い。経歴を並べるよりも雄弁な作家名鑑になっている。
“ミステリーの書き方” の続きを読む
高野秀行「謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉」
納豆というと日本独自の食べ物かと思ってしまうが、東南アジアの山岳部などにも日本とほぼ同じ納豆が存在するという。著者はかつてミャンマー北部、カチンの密林で出会った納豆を思い出し、納豆探求の旅に出る。
“謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉” の続きを読む
澤地久枝「14歳〈フォーティーン〉 満州開拓村からの帰還」
ノンフィクションの大家による自身の戦争体験記。満州に暮らした女学校時代の回想から、引き揚げまで。思春期の記憶を頼りに書いていて、同様の体験記に比べて決して濃い内容ではないが、等身大の記憶として受け止められる。
“14歳〈フォーティーン〉 満州開拓村からの帰還” の続きを読む
原武史「皇后考」
天皇に比べて皇后に関する書物は少ないが、近代以降の天皇制においては、天皇とともに皇后の存在も重要であることは論をまたない。皇后は生まれながらの皇后ではない。だからこそ皇后は自ら皇后像を作り出さねばならず、皇后の存在には国民と皇室との関係が現れている。
“皇后考” の続きを読む
久坂部羊「廃用身」
高齢者医療に携わる主人公の青年医師は、ある日、麻痺などで回復の見込みが無い部位を切断する「ケア」を思いつく。患者にとっては、不随意運動や痛みから解放され、周囲の人間にとっては介護の負担が軽減されるという狙いだが……
“廃用身” の続きを読む
松井今朝子「吉原手引草」
吉原で起きた花魁失踪事件を巡って、関係者一人一人の語りで徐々に真実を明らかにしていく。ミステリータッチの物語の面白さもさることながら、タイトルに「手引草」とあるように、語りを通じて、吉原の仕組みから作法まで分かるよう書かれている構成がみごと。内儀、番頭、新造、幇間、芸者、女衒――といった立場の登場人物の口から語られるのは、初会や水揚げ、身請けなどまさに一から十まで。
“吉原手引草” の続きを読む