「日本の恥!」と駐妻たちに目の敵にされた伝説の雑誌、という帯の文句が目を引く。1999年にバンコクで創刊された日本語月刊誌「Gダイアリー」は、ジェントルマン(紳士)の日記という名前の通りというか、裏腹にというか、夜遊びネタの豊富さで知られたが、一方で下川裕治や高野秀行といった作家の文章や硬派なルポも載る総合誌だった(らしい)。
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戯曲 福島三部作
第一部「1961年:夜に昇る太陽」、第二部「1986年:メビウスの輪」、第三部「2011年:語られたがる言葉たち」の三部からなる戯曲。戦後、福島の歩んだ半世紀が、ある家族の物語に重ねて描かれる。
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未明の闘争
川端康成の「雪国」の冒頭を、頭の固い(センスのない)国語教師が添削すると、「国境の長いトンネルを抜けると、そこは雪国であった」と、「そこは」を補ってしまうというような話をどこかで聞いたか、読んだことがある。表現において「正しい日本語」というのはなく、小説や詩歌は言葉の地平を広げる。
それにしても、この保坂和志の小説はすごい。
“明治通りを雑司ケ谷の方から北へ池袋に向かって歩いていると、西武百貨店の手前にある「ビックリガードの五叉路」と呼ばれているところで、私は一週間前に死んだ篠島が歩いていた。”
というのが冒頭の文章だが、「私は一週間前に死んだ篠島が歩いていた」は明らかに助詞の使い方がおかしい。そしてこれよりもっとアクロバットな文章が頻出する。
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グレープフルーツ・ジュース
オノ・ヨーコの詩集。想像してごらん、と呼びかけるジョン・レノンの「イマジン」は、「グレープフルーツ」として1964年に出版されたこの詩集に着想して書かれた。
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ジョバンニの父への旅/諸国を遍歴する二人の騎士の物語
別役実「ジョバンニの父への旅/諸国を遍歴する二人の騎士の物語」
「ジョバンニの父への旅」はタイトルから連想されるように宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を下敷きとしている。
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資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐
マイケル・ハート、マルクス・ガブリエル、ポール・メイソン、斎藤幸平編「未来への大分岐」
富の偏在や利潤率の低下などで資本主義は限界を迎えつつあるが、人類はまだ次の社会のあり方を見出せていない。同時に、20世紀を通じて育まれた相対主義の弊害を克服する道筋も見つけられていない。
マイケル・ハート、マルクス・ガブリエル、ポール・メイソンの3人と、カール・マルクスの再解釈で高い評価を受けた気鋭の研究者の対話集。討論と言うより、それぞれの思想、問題意識をかみ砕いて説明するような内容で、議論に入りやすい。
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南へ/さよならだけが人生か
舞台は日本を出て南へ向かう船の上。乗客と船員のとりとめのない会話が続く。乗客たちは日本を捨てていくようだが、その背景は説明されない。南に何があるのかも。船の上では、だらだらと弛緩した時間が流れる。会話にはユーモアが散りばめられているものの、そこに漂う空気はどこか暗い。
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四十日と四十夜のメルヘン
表題作は新潮新人賞を受賞した著者のデビュー作。ただ、単行本化、文庫化にあたって大幅に改稿されているようで、もとの作品がどうだったかは分からない。
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静かに、ねぇ、静かに
短編集。「本当の旅」「奥さん、犬は大丈夫だよね?」「でぶのハッピーバースデー」の3本。SNSなどのネット空間と現実の両方に生きている現代人を諷刺する内容。
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あなたの人生の物語
寡作なSF作家、テッド・チャンの短編集。表題作など8編。ファンタジー的な「バビロンの塔」から、「アルジャーノンに花束を」を連想させる「理解」、差別の問題を扱った「顔の美醜について」まで、題材、趣向はさまざまだが、科学、言語、倫理、宗教などのもたらす世界観の相剋が物語の根底にある。
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