ちょっと何言ってるか分からないという小説はいろいろあるけれど、グレッグ・イーガンの代表作とも言えるこの「ディアスポラ」もなかなか。といっても文学的な表現が意味不明というのではなく、文章は明解だが、膨大な物理学的、宇宙論的考察に自分のような文系人間は全くついていけない。ハードSFの極北。
肉体を捨てて自らをソフトウェア化し、ポリスと呼ばれるネットワーク上で生きる人々が人類の主流を成す世界で、地上には一握りの肉体人が遺伝子的改変を経て残っている。この設定だけなら古典的だが、イーガンの想像力はここから遥か遠くへと旅をする。
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