辺見じゅん「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」
敗戦後、約60万の日本人がソ連各地に抑留され、再び故国の地を踏めなかった者も多い。
収容所で過酷な労働を強いられながら、俳句を詠むことで生きる希望と故郷への思いを忘れなかった人たちがいた。その「アムール句会」の中心となった男の遺書は、仲間たちが記憶して持ち帰り、敗戦から12年目に家族のもとへ届けられた。
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読んだ本の記録。
辺見じゅん「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」
敗戦後、約60万の日本人がソ連各地に抑留され、再び故国の地を踏めなかった者も多い。
収容所で過酷な労働を強いられながら、俳句を詠むことで生きる希望と故郷への思いを忘れなかった人たちがいた。その「アムール句会」の中心となった男の遺書は、仲間たちが記憶して持ち帰り、敗戦から12年目に家族のもとへ届けられた。
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大崎善生「聖の青春」
「勝星は自分の生きかたを正当化する手段というだけではなく、自分と関わり苦しんできたすべての人間を正当化してくれる」
そう信じて、ひたすら名人位を目指した。
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高野秀行「西南シルクロードは密林に消える」
忘れ去られ、密林に消えた西南シルクロード。中国からビルマに密入国し、カチンやナガのゲリラの手引きでジャングルを横断し、インドへ。あまりに無謀な旅なのに、深刻さや悲壮感があまり無いのが著者らしい。
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高山文彦「エレクトラ ―中上健次の生涯」
「これを書かなければ生きていけないというほどのいくつもの物語の束をその血のなかに受け止めて作家になった者がどれほどいるだろうか」
書くべきものは山ほどあった。それでも、書き上げるまでには何年もかかった。
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イシコ「世界一周ひとりメシ」
旅は好きだが、一人で飯屋に入るのは大嫌い。見知らぬ街を歩くのは楽しいけど、見知らぬ店に入るのは怖い。
「常連客ばかりだったらどうしよう。頼み方がわからないかもしれない。店主が怖かったら嫌だ。そうかといって店主からやたら話しかけられても困る……」
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津村節子「紅梅」
吉村昭が亡くなるまでの1年半。主人公に育子という三人称を設定しているが、登場人物を夫、息子、娘と呼ぶ語りは完全に一人称視点。舌癌と膵がんの闘病生活は凄絶なものだったろうが、淡々とした描写はそれを感じさせない。
「夫は、胸に埋め込んであるカテーテルポートを、ひきむしってしまった。育子には聞き取れなかったが、『もう死ぬ』と言った、と娘が育子に告げた」
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