大傑作「告白」に匹敵する約700ページの大作。愛犬家の主人公は、ある日、“日本くるぶし”と名乗る神なのか何なのか分からない声から「正しいバーベーキューをせよ」という啓示を受ける。
物語は繰り返し思索の脇道にそれ、思索もひたすら脇道にそれ続ける。予定調和からは程遠い、無茶苦茶な展開がこれでもかというほど積み重ねられる。こんな突拍子もない物語を綴ることができるのも、饒舌な文体を持っているからこそ。
“ホサナ” の続きを読む
読んだ本の記録。
大傑作「告白」に匹敵する約700ページの大作。愛犬家の主人公は、ある日、“日本くるぶし”と名乗る神なのか何なのか分からない声から「正しいバーベーキューをせよ」という啓示を受ける。
物語は繰り返し思索の脇道にそれ、思索もひたすら脇道にそれ続ける。予定調和からは程遠い、無茶苦茶な展開がこれでもかというほど積み重ねられる。こんな突拍子もない物語を綴ることができるのも、饒舌な文体を持っているからこそ。
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江戸時代初めの京都を舞台に、禁裏と徳川幕府の熾烈な戦いを描いた隆慶一郎の未完の遺作。登場人物が魅力に溢れ、ファンタジー色の強い展開ながら、史料と史実を踏まえた説得力のある偽史となっている。
“花と火の帝” の続きを読む
中島らもの短編集。商店街のおやじたちが殺し合う「日の出通り商店街いきいきデー」などのぶっ飛んだ作品から、ホラー、コメディ、人生の悲哀を感じさせる物語まで多彩な9本。
“白いメリーさん” の続きを読む
デビュー作「サイドカーに犬」、芥川賞受賞作「猛スピードで母は」から、人間同士の微妙な距離感を描くのが巧い作家。
主人公の男は元ゲームデザイナー、今無職。妻の浮気で離婚したものの、その後も他愛のないメールのやりとりを続け、親しい友人としての距離を保っている。大きなアクシデントも、劇的な展開もそこにはない。過去の回想が挟まれつつ、淡々と日常が続いていく。
“パラレル” の続きを読む
500冊以上(!)の著書があるという多作な作家だが、これまで作品に触れたことが無かった。これは静岡のローカル線、天竜浜名湖鉄道を舞台にした作品で、十津川警部シリーズの一冊。
“生死を分ける転車台” の続きを読む
主人公は、誰とも付き合ったことが無いまま26歳になってしまったオタク女子。中学生の頃から片思いしている相手と、言い寄ってきた職場の同僚の間で、妄想の二股気分に揺れている。
“勝手にふるえてろ” の続きを読む
芥川賞を受賞したデビュー作「火花」があまりに話題を呼び、期待と懐疑の中での第2作。前作の延長にある作風ながら、今後も書き続けていく底力を感じさせる作品だった。
“劇場” の続きを読む
2013年下半期の芥川賞受賞作。
語り手の女性は、夫の転勤に合わせて非正規の仕事を辞め、夫婦で田舎町にある夫の実家の隣に引っ越した。姑はややお節介だが良い人で、生活上の不満は何も無い。ただ無職になった引け目が、淡々と続く日常に欠落感をもたらしている。
“穴” の続きを読む