探偵リュウ・アーチャーシリーズの第12作で、最高傑作と言われることも多い「さむけ」。原題は”The Chill”。
物語は、結婚直後に失踪した妻の捜索願いから始まる。やがて殺人事件が起こり、そこに過去の二つの殺人事件が絡む。
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読んだ本の記録。
探偵リュウ・アーチャーシリーズの第12作で、最高傑作と言われることも多い「さむけ」。原題は”The Chill”。
物語は、結婚直後に失踪した妻の捜索願いから始まる。やがて殺人事件が起こり、そこに過去の二つの殺人事件が絡む。
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スマートフォンは社会を変えただけでなく、人間をも変質させるかもしれない。
テレビやゲームに加え、そもそも印刷された本ですら、登場した当時は警戒された。しかし、スマホをはじめとする21世紀のデジタル端末の生活への浸透具合は、過去の様々なメディアとは比較にならない。
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2020年に読んだ本は120冊(前年比↑6)、3万6733ページ(同↑1515)。ほぼ平年並みだけど、軽めの小説が多かったせいか、印象に残った本も少なく、本を読んだ実感というか、充実感のようなものはあまりない。
まずは「ニール・ヤング回想」。ニール・ヤングに関してはもはや信仰の域に入っているので、これは別格。「ニール・ヤング自伝」よりも読み応えがあった。
小説では、柴崎友香「百年と一日」、津村記久子「サキの忘れ物」。他に温又柔「魯肉飯のさえずり」、森見登美彦+上田誠「四畳半タイムマシンブルース」、大前粟生「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」など。新刊以外では、絲山秋子「薄情」、多和田葉子「容疑者の夜行列車」、山崎ナオコーラ「ボーイミーツガールの極端なもの」、西東三鬼「神戸・続神戸」、戯曲で谷賢一「福島三部作」。
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谷崎潤一郎、三島由紀夫、丸谷才一ら文豪の「文章読本」から、本田勝一の名著「日本語の作文技術」、さらにレポートや論文の書き方といった本まで、古今の文章指南書を滅多切り。口語文の誕生前後から現代まで文章術の本の系譜をたどり、国語教育の歴史にまで踏み込み、文章という表現の本質を探る。王様が裸だと喝破し、「良い文章」という目標を脱構築する。軽妙な文章だが、非常に充実した内容。
“文章読本さん江” の続きを読む
「作文の極意はただ名文に接し名文に親しむこと、それに盡きる。事実、古来の名文家はみなさうすることによつて文章に秀でたので、この場合、例外はまつたくなかつたとわたしは信じてゐる」
文章術の本は、作家、記者、ライター、学者など、さまざまな立場の人の手で数え切れないほど書かれてきたし、今も新刊が続々と誕生している。その大きな流れの一つとして、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫など、作家による「文章読本」がある。その中でも丸谷才一の文章読本は、作家系の本としては、谷崎らの先行作の内容を踏まえていることもあり、決定版と言っていいだろう。
“文章読本” の続きを読む
ふとしたことから、高齢化が進む団地で夫と暮らし始めた39歳の女性の日常を綴る。特別なことは何も起こらない。特別な人間も出てこない。人探しという物語の軸はあるものの、そこに劇的な展開はない。
著者の筆は過去と現在を行き来しながら、団地とそこで暮らした人々の記憶を浮かび上がらせる。ひと言声をかわしただけの人物にも、すれ違っただけの人にも、人生があり物語がある。
“千の扉” の続きを読む
戦後まもない時期の大阪にあった大阪市警視庁を舞台とした警察小説。民主警察の理想と現実、戦争の残した傷、そしてそれらを乗り越えて生きようとする人々の姿が描かれている。
“インビジブル” の続きを読む
いま自分がいる場所、いま自分が見ている光景、いま自分が知っていること、それが全てではないことを自然科学の知識(学問全般にも当てはまるけど)は教えてくれる。それは時に、目の前しか見えなくなった人生の視野を開き、心を軽くしてくれる。科学者らしい短編集。
掌編小説集。収録作は百編余。散文詩というような、限界まで削ぎ落としたような作品群で、気の利いたオチのあるショートショートではない。軽い読み物のつもりで手に取ったものの、いざ開いてみると一編、一編、読むのに体力が入り、一年以上かけて少しずつ読み進めてきた。
“掌の小説” の続きを読む