「マームとジプシー」を主宰する気鋭の劇作家・演出家のエッセイ集。変態的な感性と優れた言語感覚。
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新作らくごの舞台裏
落語家は自身で新作を創ることが多く、漫才や放送番組なども手がける「演芸作家」ではなく、「落語作家」を名乗る人は少ない。著者は桂枝雀のファンから専属作家になり、次第に一門以外からの依頼も増え、前例のなかった「専業の落語作家」として活躍を続けている。これまでに創った新作落語は263本(江戸落語や古典の改作も含めると倍以上!)にもなるという。
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甘夏とオリオン
筒井康隆、自作を語る
「筒井康隆コレクション」(2014~17年)の刊行に合わせて行われたロングインタビューをまとめたもので、それほど期待せずに読み始めたら、これがめっぽう面白い。
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推し、燃ゆ
タイトルが秀逸。心酔するアイドルがファンを殴ったことで炎上する。現代的で軽やかな題材だが、身体性のある文章は大器を感じさせる。決してポップなだけの話ではない。
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幻坂
大阪には坂が少ない。現在の市街地の大半が沖積平野で起伏がほとんどない。そのぶん、上町台地との間に並ぶ天王寺七坂は、二つの世界を結びつけるような不思議な存在感がある。真言坂、源聖寺坂、口縄坂、愛染坂、清水坂、天神坂、逢坂、という名前もいい。
本書はその七坂を舞台にした連作短編集。本格ミステリのイメージの強い作家だが、本書でつづられるのは怪談。怖いというより、不思議で切ない話が多い。
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ハレルヤ
表題作と「十三夜のコインランドリー」「こことよそ」「生きる歓び」の4編を収録した短編集。
ある時期から猫の話ばかり書くようになった著者だが、この短編集も「こことよそ」以外は主に猫の話。ただ、そこにつづられているのは猫の物語ではなく、個々の猫の存在そのものであり、著者は猫を通して世界や生、死のことを考えている。
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愛の夢とか
著者らしい、さまざまな手触りの作品が収録された短編集。
「アイスクリーム熱」「愛の夢とか」「いちご畑が永遠につづいてゆくのだから」「日曜日はどこへ」「三月の毛糸」「お花畑自身」「十三月怪談」の7編。
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魯肉飯のさえずり
魯肉飯はロバプンと読む。「ルーローハン」ではなく、台湾語の響きをタイトルに冠した本作は、台湾ルーツの二人の女性――母と娘の物語。
この社会には「ふつう」という言葉のもとに“ささいな”抑圧が日常の隅々にまで満ちあふれている。
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無伴奏ソナタ
11作が収められた短編集。表題作と冒頭に収録された「エンダーのゲーム」(後に長編化された)が有名だが、どれも傑作。明確なオチや背景の説明、あっと驚く結末が用意されているわけではないが、ドラマ性豊かで、それぞれに寓話のような読後感を残す。ハードSFというより、ファンタジー要素が強い。
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