周囲で殺人事件を引き起こしてしまう不思議な体質を持つトランジと、その友人ピエタの物語。もともと短編として発表された作品の物語、世界を広げたもの。
トランジは天才的頭脳で事件を解決し、ピエタが彼女の活躍を記録する。いわゆる「探偵もの」の枠組みを取ってはいるが、ミステリーやサスペンスではない。バディ小説という宣伝文句通り、二人の友情が物語の核となる。
“ピエタとトランジ<完全版>” の続きを読む
読んだ本の記録。
周囲で殺人事件を引き起こしてしまう不思議な体質を持つトランジと、その友人ピエタの物語。もともと短編として発表された作品の物語、世界を広げたもの。
トランジは天才的頭脳で事件を解決し、ピエタが彼女の活躍を記録する。いわゆる「探偵もの」の枠組みを取ってはいるが、ミステリーやサスペンスではない。バディ小説という宣伝文句通り、二人の友情が物語の核となる。
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人は他者がいなくては生きていけないが、人間関係は呪縛でもある。家族、親子という関係は自分では選べないからこそ、祝福も呪いも色濃く表れる。
家族だから愛さなくてはならない、という呪いの言葉に本作は、愛されなくても別にいいじゃん、というシンプルだが力強いメッセージを突き付ける。そもそも、人と人が関係を築く上で愛は欠くべからざるものなのか(愛の定義にもよるけど)。
“愛されなくても別に” の続きを読む
短編小説というよりショートショートという印象の、短くも切れ味鋭い13編。表題作は、ナポレオンゆかりの品のコレクターに、自分をナポレオンの生まれ変わりと信じている男を引き合わせる話。ブラックユーモアに富んだ一編。
“ナポレオン狂” の続きを読む
ロートレックが多数飾られた別荘で起こる殺人事件。
ロートレックの作品が随所に挿まれ物語を彩るとともに、人物描写に著者らしいユーモアがあり、人間模様の面白さに引き込まれる。
最後に明かされるミステリーとしての仕掛けについては、フェアかアンフェアか意見が分かれそう。
“ロートレック壮事件” の続きを読む
アーティスト志望の若者たちが集まる共同住宅で暮らした日々。その頃に起こしたある事件を巡る苦い記憶。主人公は30代の終わりに差し掛かった男だが、青春時代の記憶に囚われ、自意識を持て余す彼の物語は「火花」「劇場」と同様、一種の青春小説と言っていいだろう。
“人間” の続きを読む
ゾンビに囲まれた湖畔のペンションで殺人事件が起こる。パニックホラーと本格ミステリーの見事な融合。
本格ミステリーは謎解きが肝である以上、ファンタジーや非現実的な要素を入れると興醒めになりかねない。一方で、話が面白ければ細かなことは気にならないのも小説。本作はとにかく面白い。
“屍人荘の殺人” の続きを読む
学園ホラー×本格ミステリーの「Another」(2009年)、「Another エピソードS」(13年)に続くシリーズ最新作。前2作の3年後、おなじみの夜見山北中学を舞台に、スケールアップした“災厄”が登場人物たちを襲う。人気作の続編だが、期待を裏切らない面白さ。800ページ超を一息に読み終えた。
ホラー作品には、現実離れした設定がつきもの。そこで「あり得ない」と興醒めになるものもあれば、あり得ないからこそ想像力が刺激されることもある。「Anotherなら死んでた」がネットスラングとして流行った本シリーズは、まさに後者だろう。「死に引き込まれやすくなる」という“災厄”の設定が秀逸。
“Another2001” の続きを読む