主君を殺し、将軍を暗殺し、大仏殿を焼く。「三悪」を犯した人物として語られることが多い戦後武将、松永久秀の生涯を描く長編小説。
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その話は今日はやめておきましょう
スタープレイヤー/ヘブンメイカー
ゲームでも小説でも、ファンタジー作品の魅力を大きく左右するのが、自分がその世界に行ったら、という妄想が捗るかどうかだと個人的には思っている。その点で著者の作品はその妄想が非常に楽しい。
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秋の牢獄
読書について
一言でまとめるなら、くだらない本を読むな、自分の頭で考えないやつはクソだ。(もちろん、「くだらない」は、ただ低俗という意味ではない)
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兄の終い
「地球の歩き方」の歩き方
黄色い表紙、青い小口塗りのガイドブックを手に初めての海外に出た人は少なくないのでは。
「地球の歩き方」は1979年創刊。海外旅行の自由化から15年が経っていたが、当時のガイドブックはパッケージツアーの参加者向けに異文化や観光地を紹介するものばかりで、移動手段や宿泊情報を載せた「歩き方」は画期的だった。
本書はその創刊に携わった4人、安松清氏、西川敏晴氏、藤田昭雄氏、後藤勇氏のインタビュー。「歩き方」の歩みは、そのまま日本の「自由旅行」「個人旅行」の歴史になっている。
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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
表題作は、ぬいぐるみサークルの男女を中心とした物語。主人公は人を傷付けることを病的なまでに忌避し、他者の事情に踏み込むことに対して極めて臆病。恋バナに乗れず、男同士の露骨な会話に生理的な嫌悪感を抱く。自分が男であるというだけで、加害者の立場にいると気にしている。
こういう感性の人は昔からいただろうが、その消極的な“優しさ”は非常に現代的だと感じる。令和文学史、あるいは2020年代文学史が語られる時に、その初めに登場する作品になるかもしれない。
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あなたが私を竹槍で突き殺す前に
最近読んだ中で最も挑発的な小説。緊張感、スピード感のある展開はエンタメ性豊かだが、物語は非常に重く、読者に差別や社会運動について考えることを強いる。
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ガンジス河でバタフライ
20歳女子の一人旅。香港、シンガポール、マレーシア、インド。刊行は2000年だが、綴られている旅は90年代の初めのもの。ベストセラーで、テレビドラマ化されたこともあって、著者は女性バックパッカーのアイコンのようなイメージを築いた。
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