中編2本。表題作は、旅行に行こうと思っていた連休に友人の結婚式のスピーチと2次会の幹事を任され、当日は会社の上司の父親の通夜に呼び出されるというドタバタを描く。主人公のヨシノは食事のタイミングを逃し、猛烈な空腹感の中、周りに振り回され続ける。
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デッドライン
大学の修士課程の2年間。ハッテン場に出入りしながら、大学の仲間や指導教員とのやりとりの中で自分を探し、デッドラインに向けてもがく日々が綴られる。
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落日
気鋭の女性映画監督・長谷部香と、彼女から依頼を受けた駆け出しのぱっとしない脚本家・甲斐千尋。2人の視点で、15年前に2人の故郷で起きた事件をめぐる家族のドラマが描かれる。
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スワン
変半身(かわりみ)
表題作は「サンプル」の松井周との共同取材・原案プロジェクト「inseparable」で書かれた中編。架空の島を舞台に、信仰や歴史といった「常識」がいとも簡単に覆ってしまう様を描く。
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生命式
ディストピア的な作品を多く書いている作家だが、SF小説のような暗い未来を予言したいわけではなく、むしろ、自明と思われる常識や文化に対する疑いが創作の原動力になっているように思える。
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イッツ・オンリー・トーク
地球にちりばめられて
近未来と思しきヨーロッパを舞台に、言語とアイデンティティの問題を鋭く問う作品。と言われると読む気が失せるが、決して肩肘張ったお堅い小説ではなく、軽妙洒脱なユーモアが全編に満ちている。
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夏物語
個人の決定が尊重される時代であっても、誕生だけは当人の意志で左右できない。ならば命を生み出すことは、一方的な欲望の押しつけなのか。
本書は芥川賞受賞作「乳と卵」と前半部が重なっている。続編というよりも、全面的に書き換え、大幅に加筆した物語と言った方が正確だろう。
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ほしのこ
海沿いの小さな小屋。社会の外側で暮らす父と娘。少女は父親から遠くの星から来たと言われて育つ。やがて父はいなくなる。入れ替わるように、どこかから女の子がやってくる。後半、物語の視点は揺れ動き、「わたし」は山に落ちた飛行機乗りになっている。生と死の影が混ざり合う。
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