ユヴァル・ノア・ハラリ「21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考」
「自由」「宗教」「戦争」など、21のテーマをめぐる考察。本書で最も(というか唯一)印象に残ったのが、大衆の存在意義がなくなる時代が迫っているという指摘。「存在意義の喪失と戦うのは、搾取と戦うよりもはるかに難しい」と著者は書く。
“21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考” の続きを読む
読んだ本の記録。
ユヴァル・ノア・ハラリ「21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考」
「自由」「宗教」「戦争」など、21のテーマをめぐる考察。本書で最も(というか唯一)印象に残ったのが、大衆の存在意義がなくなる時代が迫っているという指摘。「存在意義の喪失と戦うのは、搾取と戦うよりもはるかに難しい」と著者は書く。
“21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考” の続きを読む
気鋭の女性映画監督・長谷部香と、彼女から依頼を受けた駆け出しのぱっとしない脚本家・甲斐千尋。2人の視点で、15年前に2人の故郷で起きた事件をめぐる家族のドラマが描かれる。
“落日” の続きを読む
ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
英国の公立学校に通う息子との日々をつづったエッセイ。
著者は英国の“最底辺保育所”で働いた経験を持つライター。イエローでホワイトでもある息子は、落ち着いたカトリックの小学校に通っていたが、あえてさまざまな社会階層の子が集まる“元底辺中学校”への進学を選ぶ。その学校生活を通じて、英国社会のさまざまな問題が浮き彫りになる。同時に、教育のおいて本当に必要なことは何かを考えさせられる。
“ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー” の続きを読む
表題作は「サンプル」の松井周との共同取材・原案プロジェクト「inseparable」で書かれた中編。架空の島を舞台に、信仰や歴史といった「常識」がいとも簡単に覆ってしまう様を描く。
“変半身(かわりみ)” の続きを読む
ディストピア的な作品を多く書いている作家だが、SF小説のような暗い未来を予言したいわけではなく、むしろ、自明と思われる常識や文化に対する疑いが創作の原動力になっているように思える。
“生命式” の続きを読む
「西脇順三郎詩集」那珂太郎編
西脇順三郎の詩は難解と言われる。時間も場所も飛び越えた奔放なイメージの連なりは、たしかに分かりやすい物語ではない。しかしそこに描かれている情景は、植物だったり、自然の地形だったり、日々の生活の一コマだったり、決して日常からかけ離れたものではない。詩の良し悪しを語れるほどの知識も感性もないけど、解釈しようという意思を捨て、イメージのコラージュに身を任せるだけで、その世界を十分に楽しむことができる。
“西脇順三郎詩集” の続きを読む
近未来と思しきヨーロッパを舞台に、言語とアイデンティティの問題を鋭く問う作品。と言われると読む気が失せるが、決して肩肘張ったお堅い小説ではなく、軽妙洒脱なユーモアが全編に満ちている。
“地球にちりばめられて” の続きを読む
食に関する名著はいろいろあるが、そこに並ぶ(と同時に異彩を放つ)一冊と言ってもいいだろう。
ゴリラにムカデ、タランチュラと、食材もさまざまなら、ヤギの胃液のスープや、豚の生き血の和え物、ヒキガエルをミキサーにかけたジュースなど調理法も多種多様。何をどう食べるかには人間の叡智、というのは大げさかもしれないが、人間の積み重ねてきた歴史が詰まっている。登場する料理の珍しさに目が行くが、食感や風味など、丁寧かつ的確(か確かめようがないけど)な表現で、なんとなく食べた気にさせる筆力がみごと。
“辺境メシ ヤバそうだから食べてみた” の続きを読む