安部公房「壁」

2009年秋から今は無きソーシャルライブラリーで記録を付け始め(11年からは読書メーター)、以降いつ何を読んだかがはっきり分かる。この本はちょうど10年ぶりの再読。たしか高校生の時に初めて読んだ安部公房の作品もこの本だった(「砂の女」だったかも)。
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三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾

近藤康太郎「三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾」

大変有用な本である。朝日新聞の名文記者による文章指南書。名高い本多勝一「日本語の作文技術」とともに全ライター志望者必携。文章力の向上に即効性がある一冊。ただ、読みながら「良い文章」とは何だろうか、そんなものあるのだろうか、ということを(自分が気の利いた文章を書けないというやっかみ半分で)考えた。
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○○○○○○○○殺人事件

早坂吝「○○○○○○○○殺人事件」

タイトルの伏せ字も読者への挑戦。さまざまな趣向を懲らしたミステリー。

南の島でのオフ会で殺人事件が起こる。クローズドサークルもののど真ん中のシチュエーションだが、後半で謎が明らかになるにつれて、突っ込みどころがどんどん湧いてくる。核となるトリックにも苦笑い。でも、この馬鹿馬鹿しさは嫌いじゃない。

<以下ややネタバレ>
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スマホ脳

アンデシュ・ハンセン「スマホ脳」

スマートフォンは社会を変えただけでなく、人間をも変質させるかもしれない。

テレビやゲームに加え、そもそも印刷された本ですら、登場した当時は警戒された。しかし、スマホをはじめとする21世紀のデジタル端末の生活への浸透具合は、過去の様々なメディアとは比較にならない。
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2020年まとめ

2020年に読んだ本は120冊(前年比↑6)、3万6733ページ(同↑1515)。ほぼ平年並みだけど、軽めの小説が多かったせいか、印象に残った本も少なく、本を読んだ実感というか、充実感のようなものはあまりない。

まずは「ニール・ヤング回想」。ニール・ヤングに関してはもはや信仰の域に入っているので、これは別格。「ニール・ヤング自伝」よりも読み応えがあった。

 

小説では、柴崎友香「百年と一日」、津村記久子「サキの忘れ物」。他に温又柔「魯肉飯のさえずり」、森見登美彦+上田誠「四畳半タイムマシンブルース」、大前粟生「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」など。新刊以外では、絲山秋子「薄情」、多和田葉子「容疑者の夜行列車」、山崎ナオコーラ「ボーイミーツガールの極端なもの」、西東三鬼「神戸・続神戸」、戯曲で谷賢一「福島三部作」。
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文章読本さん江

斎藤美奈子「文章読本さん江」

谷崎潤一郎、三島由紀夫、丸谷才一ら文豪の「文章読本」から、本田勝一の名著「日本語の作文技術」、さらにレポートや論文の書き方といった本まで、古今の文章指南書を滅多切り。口語文の誕生前後から現代まで文章術の本の系譜をたどり、国語教育の歴史にまで踏み込み、文章という表現の本質を探る。王様が裸だと喝破し、「良い文章」という目標を脱構築する。軽妙な文章だが、非常に充実した内容。
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文章読本

丸谷才一「文章読本」

「作文の極意はただ名文に接し名文に親しむこと、それに盡きる。事実、古来の名文家はみなさうすることによつて文章に秀でたので、この場合、例外はまつたくなかつたとわたしは信じてゐる」

文章術の本は、作家、記者、ライター、学者など、さまざまな立場の人の手で数え切れないほど書かれてきたし、今も新刊が続々と誕生している。その大きな流れの一つとして、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫など、作家による「文章読本」がある。その中でも丸谷才一の文章読本は、作家系の本としては、谷崎らの先行作の内容を踏まえていることもあり、決定版と言っていいだろう。
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千の扉

柴崎友香「千の扉」

ふとしたことから、高齢化が進む団地で夫と暮らし始めた39歳の女性の日常を綴る。特別なことは何も起こらない。特別な人間も出てこない。人探しという物語の軸はあるものの、そこに劇的な展開はない。

著者の筆は過去と現在を行き来しながら、団地とそこで暮らした人々の記憶を浮かび上がらせる。ひと言声をかわしただけの人物にも、すれ違っただけの人にも、人生があり物語がある。
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